百合とメガネと大体駄文

ブログ名のとおりです

このレズセックスがすごい!2021

ごきげんよう

今年もやります。

2021

今年の百合は今年のうちにまとめておきましょう。

百合的な目線で振り返る2021年

待ちに待った裏世界ピクニックのアニメが放送されたことが大きな出来事かなと思います。

4月頃にエデンの処女が完結されたのもあって、リュエルコミックスが異端の百合フェアをやっていたのも印象深いですね。

最近出版社が自社作品を並べて展開するフェアをめっきり聞かなくなりましたね。(多分KADOKAWAとかはやっているんだろうけど覚えていない)
2018年~2019年の勢いはどこへ……

個人的な話なのですが、今更シスターフッドという概念を知りました。(「女と女が徒党を組んで社会的ジェンダーからの解放を目指すために抗う」みたいな解釈でいます。本当はもうちょっと違うとは思うのですが。)
そのせいか、今年はすごくシスターフッドな作品が多かったかなぁと思います。

後々紹介する「踊り場にスカートが鳴る」「作りたい女と食べたい女」もそうですし、河出書房新社から「覚醒するシスターフッド」という国内外からシスターフッドをテーマにした作品を集めたアンソロジーも発刊されました。
(アパートママ友ネットワークで、同じアパートに住むモンスター住人をぶっ潰しにかかる「パティオ8」って作品がすごく面白かったです。)

他にも講談社一迅社が手を組みながらレズ風俗作品を推し進めているのを感じました。
2019年からちょこちょこ出ては割と重版がかかっていた、一迅社の「レズ風俗アンソロジー」シリーズから需要を感じたのでしょうか。
一迅社からは「彩純ちゃんはレズ風俗に興味があります!」の連載と単行本化。
講談社からは2020年から連載されていた「愛されてもいいんだよ」の単行本化が面白いなと思いました。それぞれユーザー目線とキャスト目線でお互いの話が対照的になっているのも考えられているのかなぁと思います。(2作品ともまた後で喋ります)

あとは6月以降の映像作品がかなり勢いがあったなと感じます。

リストアップすると

という感じです。特に映画が多かったですね。人生で一番映画を見た年かもしれません。

いい映画が多かったので、映画の感想も置いておこうと思います。

 

前置きはこのくらいにしておいて、本編やって行きましょう。

いつもの選考条件です。

選考基準

・2021年に出版された書籍。(内容掲載が2021年以外でも単行本や短編集になって発売されたタイミングが2021年であれば対象)

・シリーズ物2巻以降は除く。

・同人作品は除く。

・面白かったので読んでほしい作品。

・今年は映画が豊作だったので、映画も含めます。封切り日が2021年のものを選びます。

漫画部門

フードコートで、また明日。

はい。説明のとおり、フードコートで女子高生が喋るだけの漫画です。
とにかく二人がど〜〜〜〜〜〜でもいいことばっかりを喋るだけの漫画です。

外見ギャルなのに中身めちゃくちゃ真面目なやつと、 外見清楚なのに中身がうるさい女子高生がただただ喋ってます。
会話のノリが常に女子高生で、学校生活とかソシャゲとかの話してるだけです。この会話の中に時折見せるお互いの信頼感がとてもいいです。

お互いに恋愛感情とかは持ってなく、ザ・百合!という作品ではありません。
ですが、どこか二人の間にある関係を垣間見ながら、二人の会話を読んでケタケタ笑うのが丁度いい作品です。

酒と鬼は二合まで

カクテル作りが趣味な主人公ナオリ。大学デビューに失敗し、家で一人カクテル作りの勤しむ日々を過ごしていました。ある日同級生から誘われた飲み会に参加し、そこでギャルのひたなと出会います。
ひなたは飲み会で「お酒が飲めない」と言うが、強要されているところを見過ごせなかったナオリは彼女の酒を飲み干し、その場をひなたと一緒に抜け出します。
そしてなぜか二人はナオリの家に行くのですが、カクテル道具や酒瓶を見たひなたが「カクテルを作ってくれない?」とナオリにお願いします。
酒が飲めないのに?と思いながらもナオリはアドリブでカクテルを作り、ひなたと酒を飲むことに。酒を飲んだひなたは頭から鬼の角を生やし、正体である「酒吞童子」であることをナオリに明かします。そして「私のマスターになってくれない?」とナオリに迫ります。

属性で示すと、酒と主従関係と同居、といった感じでしょうか。主従関係と言ってもガチガチでもなく、酒を作ってくれる人と酒を飲む人。みたいなゆるい感じです。
酒呑童子の血を引き、食事が酒なのに酒にふれることができないひなたと、趣味が興じてひなたに喜んで欲しくてひと手間加えたカクテルを作るナオリが過ごす、ちょっと凸凹した日々が良い作品です。

嘘とキスは放課後に

恋愛に奔放な母のせいで、温かい家庭を失った凛。そんな彼女を救ってくれたのは幼馴染のモカとその家族でした。しかし、モモカはだんだん凛の母親のように男遊びがひどくなり、凛はモカを嫌悪するのでした。家族ぐるみの付き合いは続いており、表面上いい関係を取り繕う二人。男遊びばかりするモモカに呆れた凛は「おばさんたち悲しませるよ」と言ってしまいます。するとモモカは「じゃあ、私の彼氏になってくれる?」と迫ります。こうして二人の契約が始まるのです。

表紙見たときから絶対好きだよな〜〜〜と思ってたら案の定好きだった。
この二人が恋人になる契約を交わしてからが本当に良くて、モモカはきっぱりと男遊びやらなんやらを素直にやめるんですよ。でも、静かに出てくる凛の友達への嫉妬がすごい質悪くてよかったです。足引っ掛けて転ばそうとしたり、凛と友人が遊んでるところに割って入ったりとか。モモカの本当に愛する/愛されるでしか話がわからない感じとかおもしろかったです。
ガンガンというレーベルでこのダークな百合やるのちょっと意外な気もするんですけど、結構ダークな作品多いからいけるのかな……今後どう話がすすむがマジで楽しみです。

踊り場にスカートが鳴る

幼少期から背が高いことがコンプレックスの社交ダンス部2年のきき。彼女は女役として踊りたいと思いながらも、体格に合う役である男役を続けてきました。
ある日、ききは幼馴染からのペア解消を求められ、新しい女役のパートナー相手を探すことになります。
社交ダンス部に入部した小柄な1年生のみちるにパートナーを申し出ると「私は男役しかやりません」「女同士なら技量で男女役を決めるべき」「体格で選ぶなんて浅はかでは?」と女役を断ります。
みちるに断れたききは、校舎の踊り場で女役のダンスを一人で踊っていました。その光景を見たみちるはそのまま彼女をリードする男役となり、二人踊り場で踊ることに。
初めて女役として自信をもって踊り、男役にリードされる感覚を知ったきき。
二人で踊ることでききの本心を知ったみちるは、ききとパートナーを組むように申し出ます。──

まずタイトルをしっかり読んで。「踊り場にスカートが鳴る」ですよ? 詩的すぎませんか? 連載告知でタイトル読んだ時点で「あ〜これ好きになるなぁ」と思ってました。絵柄もすごい儚げで、ききとみちるの気持ちが輪郭にすごい詰め込まれているなと思います。
「背が高いから男役をやるべきだ」「背が低いから女役を」みたいな、周りが押し付ける"普通"の固定概念に抗いつつ、ききもみちるもお互いがお互いにやりたい役で踊る姿がシスターフッドっぽいなと思いました。

背丈も考え方もちぐはぐな二人が、お互いに手を取り合って演じたい自分になって踊る姿が美しい漫画です。

作りたい女と食べたい女

タイトルの通り、作りたい女と食べたい女の話です。
料理を作るのが趣味の野本さん。毎日料理を作ってはSNSに投稿するのですが、実際に作りたい料理はゲームに出てくるご飯の再現レシピだったり、大量に作るデカ盛り飯。一人暮らしの上に少食な野本さんは、凝った料理を作りたい欲を燻ぶらせ続けていました。
ある日、同じアパートの住人である春日さんにばったり出会います。春日さんの手元にはフライドチキン屋のバケツや箱をいくつもぶら下げ、あまりの量に野本さんは驚いてしまいます。「ファストフード臭くてすみません」と謝る春日さんに、野本さんは好奇心が負け「パーティーですか?」と尋ねました。すると「一人で食べます」ときっぱりと答えられました。あの量を一人で? と、野本さんは衝撃を受けました。
数日後、いつものように出勤して会社で自分が作った弁当を食べていると、男性社員から「いいお母さんになるなと思う」「俺も毎日彼女に弁当作ってもらいたい」等と言われます。無性に腹が立った野本さんは、勢いに任せてとんでもない量のご飯を作ってしまいました。困った野本さんは春日さんの家に押しかけ、もりもりのご飯を振る舞います。春日さんは「いただきます」と一言いった後、無言で山盛りのご飯をガッシガッシ平らげ、ご飯はすっからかんになります。無言ながらも全身で「おいしい」を表現してくれる春日さんに野本さんはどんどん惹かれていきます。

久々にKADOKAWAの女性向けコミックレーベルから百合を感じる作品が出てきました。おそらくKUJIRA先生の「世界の終わりと魔女の恋」以来でしょうか?
連載当初からすごい話題になっていた作品だと思います。最初はあまり絵柄が好みでなくて放置していたので反省しております……。周りがすごいすごい言ってたので、意を決して読んだのですが、めっっっっちゃくちゃ面白かったです。特に春日さんが山盛りのごはんをばっくばっく食べていくシーンが圧巻で、ただご飯を食べているだけなのに何故かものすごく格好いいんですよ。
基本的に野本さんがたくさんご飯を作って春日さんが食べる話ですが、それをきっかけにお互いどんどん仲を深めていき、しまいには「家からご飯の匂いしないんだけど体調悪いですか?」と心配しに家行っちゃう始末です。(この話の春日さんが炊飯器抱えて野本さんの家に行ってるのがめちゃくちゃ好き。かっこよすぎる。)

そしてこの作品もシスターフッドを意識している作品です。「女性は少食だし、ご飯も少なめでと言われるから」と勝手にご飯減らした定食屋の店主に「普通に米盛ってください」と訴える春日さんだったり、冒頭の弁当作ってきてる野本さんに女というフィルターを通した上で話しかけてくる男性だったり。まぁそういう節は見ていて気持ちのいいもyのではありませんが、どこかでそれに反抗するような野本さんと春日さんの行動が格好いいんですよね。春日さん何しても格好いいから本当に格好いい。

じゃあこれはシスターフッドであって百合ではないのか? と言われるとそうではなくて、お互いに仲良くなるに連れてお互いを意識し始めているので、今後はそういう関係にも話が進むのかなぁと、連載を読まれている人の感想をみて思います。

とにかく春日さんの飯を食う姿勢と食いっぷりが爽快で気持ちいいのでおすすめします。

追記

このマンガがすごい!2022オンナ編2位ノミネートおめでとうございます🎉🎉🎉

……マジで?

白と黒 ~Black&White~

実業之日本社から出たリュエルコミックスの作品です。異端の百合フェアの作品にも取り上げられていましたね。
説明の通りバイオレンスな女と女の話です。投資家営業部に所属する、すごい仕事のできる白川ジュンコ。そこに法人営業部から黒田カヨという、これまた仕事のできる女が異動してきます。カヨの教育係を命じられるジュンコですが、お互いがお互いをよく思っておらず、しょっちゅう痣、傷跡上等といった喧嘩を繰り広げます。
お互いがお互いをこそこそ嗅ぎ回って、追いつけ追い越せと常に上を取ろうとするバトル社会人漫画です。なにかに殴られたような衝撃を食らう作品です。恋愛的な感情が一切挟まれないので、百合かと言われると怪しいですけど、嫉妬とか憎悪とかの関係って百合じゃないですか?

姉の親友、私の恋人。

親がネグレクトになり、自分のことを世話してたくさんかわいがってくれた姉。そんな姉が大好きな聖奈。ある日、姉は交際している彼女である菊を聖奈に紹介します。聖奈はこのときにひどく喪失感を覚え、姉に対する気持ちは恋だったと自覚します。そしてこの気持ちが姉にバレた時、私は妹としていられなくなると思って姉との距離を起きます。しかし、姉との距離を置けば置くほど何にも集中できなくなり、どんどん自堕落になっていくばかりでした。そこに姉の親友である菊が、姉に頼まれて聖奈の様子を見に行くように。しかし菊は聖奈に対して抱える気持ちがあるのです。

連載時からすごく気になっていた作品です。今年単行本化するとは思ってなかった。
とにかく聖奈が抱える姉へに対する気持ちが重たすぎてすごく良かったですね。好きすぎるあまり身を引くけれど、そこはそこで葛藤だらけて結局好きだし諦めきれてない感じが本当に好きです。どれだけ読み勧めても、「私には姉さえいればいいの」という空気が漂ってる。
で、その聖奈をちょくちょく様子見に来る菊が居るんですけど、この菊も多分一筋縄じゃ行かないような気持ちをずっと聖奈に抱えています。恋人になりたいとか、付き合いたいとかそういうとこを言うのではなくて、「君との関係がほしい」っていい続けるんですよ?耽美かつ地雷な感じすごくないですか?

一人の人間に固執し続けるタイプの百合が好きな人には読んでほしい作品です。

かけおちガール

主人公の大学院生、牧村もも。彼女は10年くらい前の女子校時代に付き合っていた、みどりちゃんという女の子の存在が今でも忘れられません。
内緒の手紙を送り合ったり、同じマニキュアを塗ったり、何度も唇を重ね合ったみどりちゃん。
しかし、そんな箱庭に閉じ込められた生活も卒業という区切りとともに終わりがやっています。「どっちが先に彼氏できるか勝負ね」「まきちゃーん、だーいすきっ! だったヨ」とというみどりちゃんの言葉を最後に、みどりちゃんとは疎遠になりました。
一方的な別れ方をされたももは諦めきれず、結局10年もの歳月が経った今もみどりちゃんに片想いを続けているのです。
ある日、ももはバイトしてるときにみどりちゃんとの偶然再会します。
「昔こうして手つないで帰ったよね〜」「バイバイする時ちゅーしてたよね」と手繋いで帰ったり、別れ際にキスしたり、ももの中で燻ってた恋が再熱します。
そして後日。ももはみどりちゃんから呼び出されて再び会うことになります。久々にとびきりオシャレしてみどりちゃんに会うもも。しかし、みどりちゃんから渡されたものは結婚式の招待状でした。
それから何度かももはみどりちゃんと、その婚約者と会うことになります。婚約者の行動や言動がみどりちゃんを軽視しているようにしか見えないみどりちゃんは、何かに漬けてみどりちゃんを連れて逃げ出そうとするのです──

リイド社から出ている「姉の友人」祥伝社から短編集「いてもたってもいられないの」を出されている、ばったん先生が2019年の6月からハツキスで連載していた作品がついに書籍化しました。

タイトルの通り、女が女とかけおちして逃避する話です。(実は書籍化してから読み始めたのでオチをまだ知らない)
ストーリーはもちろん面白いです。ももがすごくみどりちゃんを愛しているんだなということが伝わるもも視点のモノローグ。異性と恋愛して結婚してと、普通の幸せの障壁にぶち当たりながらも苦しさを取り繕いながら生きるみどりちゃんの描写がとにかく素晴らしいです。
この作品のすごいところはストーリーだけではないんですよ。ももがみどりちゃんを見て好き・愛おしい・綺麗と思う度に、みどりちゃんの周りに光がパチパチと纏う描写が多用されています。相手に思う感情をこういうエフェクトで表現するのはすごいと思いますし、直感的に捉えれる表現ですごく良いと思います。
先日最終巻の3巻も発売されました。年末年始のお供にいかがでしょうか。

彩純ちゃんはレズ風俗に興味があります!

幼少期に近所のお姉ちゃん麻衣とよく遊んでいた主人公の彩純。彩純は麻衣に「彩純ちゃん、キスってしたことある?1回だけやってみない?」と言われてキスをします。彩純は「思ったよりフツーだった」と言ってしまい、そのまま疎遠になりました。
彩純は「あの時麻衣はどういう気持ちで私にキスをしたのかもやもやする」と気にし、麻衣との再会を望みますが、音信不通に。
この話を先輩にしたところ、面白がった先輩が彩純のスマホのポケットから麻衣と彩純のツーショット写真を見つけます。先輩はその麻衣の顔に見覚えがありました。「どこで見たんですか?」と彩純が尋ねると、先輩は「レズ風俗」と答えます。そして彩純が麻衣を探すレズ風俗街道が開くのです。

百合姫エロコメ枠を長い間担った「立花館ToLieあんぐる」の後釜かつ、昨今のレズ風俗モノの勢いからレズ風俗要素をいれた作品です。

私は性嫌悪する傾向がありますし、男性読者をターゲットにした性的搾取な表現がある漫画が苦手です。読者に向けておっぱいドーン!!みたいな描写されると、作中に読者という存在を意識されてるんじゃないかと思って読めなくなっちゃいます。
なので本当はこういう作品はあまり選びません。
ですが、この作品は胸とかお尻とかを強調するような描写はほとんど無く、行為を行っているシーンも攻めと受けの表情をしっかり描写しつつ全身が描かれる形になってます。このような表現はBLでも見かけますし、TLコミックスでも見かけるので、割と女性向け漫画としての系譜を引いた表現をしていて個人的に評価が高いです。

エロコメですが、ストーリーも意外としっかりしています。彩純がいろんなレズ風俗に行っては麻衣を探しつつ、ちゃっかり行為も楽しんで女遊びを覚えていく流れが面白いなと思います。

余談ですが、この単行本に百合姫コミックスとして久々のチラシが挟まってました。そのチラシが講談社の「愛されてもいいんだよ」なのってちょっとすごくないですか?

愛されてもいいんだよ

本採用をいいことに試用期間中に社内の人間からセクハラを受け、自分の立場がなくなりつつある倫。会社の飲み会中にトイレで落ち込んでいるところを「私、体調悪いから介抱して」と見知らぬ女性に声をかけられ、飲み会を抜け出します。
「どうしてあれだけセクハラされてるのに何も言い返さないの?」と彼女は倫に喝を入れますが、倫は「私はなにをやってもダメダメで……」と本音を漏らします。
倫は「私にできることは夜職くらいしか」といったところ、彼女は怒り出します。
なんと見知らぬ女性はレズ風俗のキャスト、諒でした。「2万で私の2時間買って、人生変わるよ」と言われた倫は、人生初のレズ風俗に踏み入れることに。
自分に素直になり、相手の気持を受け入れて満たされた倫は、セクハラ会社を辞めて晴れて無職。先日のレズ風俗の余韻に浸りつつサイトを見ていると求人広告が目に入り、彼女はレズ風俗のキャストとしてデビューするのでした──。

先程の「彩純ちゃんはレズ風俗に興味があります!」とは売って変わり、主人公がキャストとなってゲストの心の穴を埋めていくことがテーマの作品です。
研修中に諒から貰ったココアを飲んで「人の心をホッとさせるココアのような存在になりたい」という理由でここあという源氏名を手にします。
たどたどしくも「どうやったらゲストに喜んでくれるかな」と試行錯誤しながらゲストに接する過程の心情描写とか考え方とかがすごく面白いんですよ。
このへんの描写が「彩純ちゃんはレズ風俗に興味があります!」と対になってていいんですよね。彩純ちゃんでは一方的に気持ちよくさせられている描写が多いけど内心はこんなこと思いながらやってたりするのかなと思います。
これももちろん行為中の描写はありますが、肝心の性器とかは曖昧描かれています。
男性誌のような性描写よりも女性誌よりな性描写がメインなので、男性誌的な性描写苦手な人でも楽しめるかと思います。

おまけにこの作品は実在するレズ風俗に取材協力させてもらっているそうです。キャストとゲストのギクシャクしたり、揉め事とかの出方がきっとマジなんだろうなと思います。(私はそっちの方面の現実を知らないので何も言えないのですが……)
先輩の「2〜3時間という短時間で1年付き合った雰囲気を作るものなのよ」というセリフがめちゃくちゃ好きです。

余談ですが、1巻の巻末に「レズという言葉は侮蔑用語として使われてきましたが、現状最も広まっている言葉なので使わせていただく次第となりました。」という注釈が入っているところがめちゃくちゃ良かったです。来年の4巻で完結らしいです。淋しいね。

今日もひとつ屋根の下

「定時にあがれたら」を描いていた犬井あゆ先生のエッセイ作品です。実際にお付き合いしてる彼女との話を描いているだけのいい作品です……
天真爛漫なあゆ先生と、すごいしっかりした彼女のコンさんとのやり取りがすごい癒やされるんです。女性二人がほのぼの過ごしているだけの作品なのにこんなに癒やされるのか謎すぎる。
エッセイ作品といえばだいたい自分が乗り越えた苦悩とかがテーマだったりしますが、この作品は暗い描写がほとんどないんです。(少しは触れたりしますが……)
大体バカップルしてるだけ(失礼)で読んでて楽しいんです。「仮定の話だとしてもコンさんと分かれるなんて絶対にないから!!」と真剣に喧嘩してるの良すぎません??
あと同棲始めたときに行ってきますのキス習慣つくらせた話とか本当にいい……事実は小説よりも奇なりってこういうことだと思う。

百合姫で1ページ2ページの連載が始まった頃から「書籍化して!!!!!!!!」と言い続けたら本になってしまったので未だに信じられないし嬉しいです。
日常に癒やし求めてるタイプの人は読んだほうが良いです。マジで。

今日はカノジョがいないから

誰にも言えない愚痴や惚気を裏垢に日々書き込むゆに。ゆにには、付き合っている女の子、七瀬がいるのです。七瀬からは「二人が付き合っていることは内緒にしておきたい」と言われます。七瀬がバレー部で忙しいことは理解していても、ゆにの不満は止まらず、裏垢へ。ある日、学校で浮ついてる不思議な子、風羽子から「ゆにちゃん?」と声をかけられます。普段名前で呼んで来ることのない相手から名前で呼ばれ、驚くゆに。放課後、ゆには部活に励む七瀬を待っていると、またしても風羽子がやってきます。そして風羽子は「ゆにちゃんの裏垢、知ってるよ」と暴露し、そして「私、2番目の女でもいいよ」とゆにに迫るのでした。

私が大好きすぎる「ルミナス=ブルー」や「透明な薄い水色に」を描かれている作家、岩見樹代子先生の新作です。ルミナス=ブルーから待ち続けていたので本当に嬉しい。

この作品を一言でまとめると、「女と付き合う女から、女を寝取る女」という、女だけで構成されたNTRです。しかも風羽子って女の顔がめちゃくちゃいい上に、寝取ることに対してハチャメチャに興奮を覚えるタイプのイカれた奴なんですよ。

それに普通にセンスがすごい良くて、メインキャラが本当に等身大の高校生なんですよね。ゆにちゃんの七瀬が好きだけれども、好きだから故に傍若無人に振る舞うところとか、七瀬の部活バカ具合とか。1話の冒頭で「かわちい」とかキャラが喋ってたのを見たときは腰が抜けるかと思いました。

で、この作品に関わらず、岩見先生の作品全般に言えるんですけど、1巻から最終巻までを考えた根幹のストーリーと、1話でやるショートなストーリーの統制が非常に取れているんですよ。1話1話でシチュエーションを行いながら、一歩一歩全体のストーリーが進んでいく感じが本当に良い。ゆにと七瀬がちゃんと付き合ってほしい……と願いつつも、それをぶち壊しにかかってくる風羽子のイカれ具合が本当に面白い。クズ。
伏線の埋め込み方もすごくうまいんですよ。好きで何度も読み返してるんですけど、読み返す度に「オイ!これは!!」となることが多くて、スルメ曲ならぬスルメ漫画だと思っています。読んでね。

 

以上、漫画部門でした。

百合愛好家サロンというオンラインイベントで「これからの百合は女性同士の関係だけじゃない何かが加わってくる」とコメンテーターの方がおっしゃっていたのですが、まさにその片鱗に今いるなと感じました

特にシスターフッドを組み合わせた「作りたい女と食べたい女」や、レズ風俗を組み合わせた「彩純ちゃんはレズ風俗に興味があります!」「愛されてもいいんだよ」は、2018年の恋愛メインの百合から女性誌方向に進化した作品だと思います。
むしろ今回選んだ作品のうちで恋愛メインなのは「かけおちガール」くらいでしょうか?

女性誌ラインの作品は演出とか台詞の言い回しとかが全部細やかで丁寧だからもっと増えて……

文芸部門

夢の国から目覚めても

百合同人サークルを営んでいる有希と由香のお話です。有希は自分がビアンと自覚していて、サークルの相方である由香に恋をしています。しかし、由香は普通に彼氏がいるし、作る作風はエロコメばっか。有希の考え方とは相反するのでした。
ある日、彼氏に別れを告げられた由香。どうやら彼氏に有希と付き合っているように思われのですが、「百合とレズは違うのに」と弁明します。こうして有希の恋はあっさりと終わりを告げるのです。
そしてまた後日。有希は他の同人サークル仲間の恵利と出かけることに。恵利もビアンですし、有希にも打ち明けていて、お互いに悩みを共有する仲間でした。
別れ際に恵利が「有希さんの家に行きたい」と言い出し、二人は有希の家へ。
家に着いて早々恵利は有希を押し倒すのですが、ここで何故か有希の家に由香が現れます。その光景を見た由香は「え、冗談でしょ? リアルでは駄目だよ」と口走りました。
由香は恵利を追い返し、「突然押し倒されるなんて怖いね〜」と彼女なりの心配をしますが、有希は「私も恵利ちゃんと同じで女の子が好きなの!レズビアンなの!」と言い、由香から逃げるのでした。

2020年に第2回百合文芸コンテストでpixiv賞を受賞した宮田眞砂先生の作品です。

この作品のストーリー自体も大変濃密で面白いのですが、それだけじゃないのがこの作品。とにかく「百合」ってものに対してすごく考えられているなと思う作品でした。

実らぬ恋に滾らせた思いをぶつけたような繊細でどこか悲しい作品を作る有希だったり、百合が好きで創作を続ける由香だったり。
ちょこちょこ出てくる同人サークル仲間の会話でも「百合はどうあるべきか」という不毛な議論やってたりします。男性のオタクもこれに口出しはしますが、割とこっち側の人間で、不用な発言させてないところもすごいなと思いました。

先程書いたあらすじは前半の話なのですが、後半になると百合とかセクシャリティジェンダーまで話が広がり、〇〇らしさで固められた現代社会を生きる由香の心情描写がもう丁寧で本当にいい作品です。読み出したらあっという間の作品なので本当に読んでいただきたい。百合好きなら尚更読んでいただきたい。

ひきなみ

瀬戸内海の小島を舞台にした作品です。親の都合で東京から島に転校することになった葉と、また別の島に住む真衣の話です。
「東京の子じゃのお」と周りの男子にからかわれていたところを救ってくれた真衣に、彼女は心を惹かれます。
葉は真衣と学校で再開しますが児童からも先生からも腫れ物扱いされていました。
”よそ”から来た葉と、腫れ物扱いされていた真衣。形は違うけれども、孤独という意味で二人はよく遊ぶようになります。
しかし、島に脱獄犯が侵入したと噂が島中で流れます。脱獄犯を見つけてしまった葉と真衣はしばらく脱獄犯を匿うのですが、真衣は葉に何も言わず脱獄犯と共に姿を消しました。それから十数年後、島を抜け出して東京で大人になった葉は、社内のハラスメントに限界を迎えていました。そんな時、葉は真衣に似た人物をネットで見かけてしまい、彼女は真衣に会いたい衝動に襲われるのでした。

昨年百合文壇バーに行ったときにおすすめされて知った作品です。舞台である離島に暮らす人々の生活や、離島だからこその、村よりも強い島民の村社会の描き方がリアルですごい面白いです。
途中、葉に初潮がきたことを真衣に相談します。「島の薬局で生理用品買うとバレる、ついてきて」と真衣が葉を連れ、本土へ行きます。そこで真衣の母親と会うのですが、ここのシーンが本当に良いんです。ネタバレになるので言えないのがめちゃくちゃ悔しい。

後半の葉が大人になった話もまた面白いです。ハラスメントの描き方はマジでエグいんです。でも葉が真衣と再会できてから葉が真衣について色々思い返して人生を改めようとする姿が良いです。

ジェンダー社会を考えさせられつつ、重たい小説が読みたい人におすすめしたい作品です。

白い薔薇の淵まで

平凡なOLのとく子がある日、書店でたまたま目に止まった本を立ち読みしていると知らない女性に「その本、買わないの?」と声をかけられます。本を買った彼女は書店を立ち去ろうとすると外には雨が。そこに先程の声をかけてきた人が傘を貸してくれました。とく子は「傘はどう返せばいい?」と聞くと「連絡先教えるから」と言われますが、手元に紙が無く、先程買った本を差し出します。すると彼女は口紅を取り出し、電話番号と名前を本に書き込みます。彼女はこの本の作者である山野辺塁でした。
そしてとく子と塁は傘を返すために再会し、バーで飲むことに。二人で夜通し飲み明かした挙げ句、塁は六本木の町のど真ん中でとく子にキスします。そこから二人は泥沼のような恋に落ちるのです。

「おいおいオタク君いくら自分が好きな作品だからってここに載せるのは違うだろ」って言われても仕方ないけど、選考基準が「2021年に発売された書籍(内容の掲載時期は問わない)」だからレギュとしてセーフなのよ。こんな形で選考基準破られるとは思ってなかった。

みんな大好き中山可穂先生の名作、白い薔薇の淵までが復刊です。今から20年くらい前に出ており、今よりも同性愛が受け入れられていない時代に山本周五郎賞を獲った作品です。
二人の女性の、離れたいけど離れられない。恋に落ちてしまったが故に最後。というストーリーです。元々彼氏もいて平凡なOLしてたとく子が、作家の塁と出会ったことで、お互いに体の髄から相手を求めだすんですよ。絶対ここは和解できない!となるとあっさり別れますが、どうしても相手を忘れらない。しばらくして些細な連絡をとってしまったせいで、決壊したダムのように気持ちが溢れ、また相手を求めてしまう。
中山可穂先生の己を削って書いたような荒々しい文章と、その合間に挟まる地の文の説明の耽美さが本当に大好きです。

20年前の作品なので知らない人がいると思うので、この場を借りて激推ししておきます。

アヤとあや

画家である父のモデルをしている小学5年生の亜耶。自分の神秘性を感じる彼女には、いつも一緒な友人である彩がいます。11歳の誕生日を迎えた亜耶は、より一層特別でありたい気持ちを抱く。凡庸なクラスメイトの男子が持ち込んだナイフの話を聞いて、亜耶はナイフを欲しがり、ナイフを盗むのでした。

正直百合かと言われると、百合なのかなぁという作品ですが、亜耶と彩の関係がすごく良かったです。
亜耶と彩はいつも一緒にいるんです。家でも、父のアトリエでも、学校でも、授業中でも。この時点で、ん?となると思うのですが、彩は亜耶が作り出したイマジナリーフレンドなんですね。父が描いた亜耶の絵が有名な画家に「少女の神秘性を描いている」と評価されたことがきっかけて、亜耶は特別や神秘性に固執し始めます。
亜耶が行う行動が、神秘的な人はこれをやらないとかで考えられて動く過程とかが面白かったです。

双子姉妹百合ってかなり神秘的な百合だと思ってまして、そういう神秘的とか偶像崇拝とかに近い百合が好きならば読んでほしいなぁと思います。

映画部門

今年は本当に映画がアツかった。普段映画全く見ないけどめちゃくちゃ映画館に行った気がする。映画館で見る映画っていいですよね

TOVE

トーベ・ヤンソンは彫刻家の父の元生まれ、自分も芸術家として活動するように志します。
ですが父からの批評が激しく、描いた絵もあまり評価されていませんでした。
ある日、展覧会でヴィヴィカという女性に出会い。二人は恋に堕ちるのでした。
しかし、この時代のフィンランドでは同性愛が禁止され、トーベとヴィヴィカは二人の間だけで伝わらない暗号で愛を伝え合うのです。

見て一番最初に、トーベ・ヤンソンの人生を描いた作品だなぁと思いました。
トーベがどのように苦悩して絵に向き合ってきたり、どのような人間関係があったりとかの再現度が高いなと。
で、百合的な話なのですけど、この作品普通にトーベとヴィヴィカが寝るシーンが幾つか挟まれているんですよ。ムーミン目的で見に来た人たち大丈夫だったかな……。
そしてこのヴィヴィカって女がスゲークズな女で、トーベ以外にも何人か恋愛関係を持った女が複数人いて、トーベがめちゃくちゃ嫉妬して別れてを繰り返しててすごく面白かったです。
フィンランドでは同性愛が禁止されていたのは事実ですが、作中で警棒振り回すような表現はそんなに無いので安心してください。

ひらいて

成績も良くて、クラスでも明るくて目立つ愛。愛は、ひっそりとして寡黙だけれど、どこか謎めいた雰囲気をもつ、クラスメイトの、たとえに片思いをしています。
ところが、愛はたとえに秘密の彼女が居ることを知ります。その彼女は病気を抱えた、パッとしない美雪でした。どうして美雪がたとえの彼女か。悔しさと、たとえが欲しい気持ちが愛を動かすのでした。

この作品ストーリーがえげつなくて、男が欲しいがために女が女を寝取って男を奪おうとする話なんですよ。
普通に主役はジャニーズですし、いかにも一般層が見に来そうな映画なのですが、これもこれで女と女が寝るシーンをめちゃくちゃ濃く描写してるんですよね。
R-15とはいえ、女と女が濃厚に愛撫して乳吸ってる描写を映画館で上映出来るってすごい時代になりましたね……

ベースはヘテロですし、百合といってもこのワンシーンがすごく百合的に濃いという感じです。興味があったら見てくださいくらいの気持ちです。

ベイビーわるきゅーれ

JKとして生活する傍ら、殺し屋として働くまひろとちさと。二人は殺し屋事務所から「もう二人とも高校卒業しますし、寮から出て働いてください」と言われ、二人は一緒に住むことに。そして仕事を探すのですが絶望的に二人とも社会不適合者で、バイトの面接中に店長殺す妄想するわ、頑張って載せたホイップクリームを彼女に分け与えたカップルの頭殴るわでめちゃくちゃなんです。それに過去に仕事で殺した人がヤクザ関係で、巻き込まれたり。そんな二人の日常と、殺し屋として働く2つの面が両立した物語です。

殺し屋の映画といえば復讐だったり暗いイメージが強いと思いますが、この映画は明るい殺し屋映画がテーマで、仕事で依頼されたから殺しま〜すくらいに殺していくんですよ。
で、この映画の百合的な魅力はこの二人の生活で、二人ともちゃんとした生活とかしてなくて、ソファーに並んでゲームしてたりスマホで動画見てたりするんですよ。このわざと描いた雑な生活感が本当にリアルですごくいいんですよ。家帰ってコンタクト速攻で外して眼鏡かけて死んだ顔で鍋つついてるシーンとかあるんですけど本当にリアル……。
途中二人がメイド喫茶でバイトを初めるのですが、比較的明るく振る舞えるちさとと、社交的にできないまひろがすれ違って喧嘩するシーンとかもめちゃくちゃ良かったです。

7月30日に封切りされた映画のはずなのに、「少なくとも2022年の1/6までは上映します!」なんていう映画館があるらしい。しかもこれ全国上映されてるような映画館じゃないんですよ?ベイビーわるきゅーれ、恐ろしい作品です。続編も決まりましたし楽しみです。

パンフレットを買うと主題歌CDと、何故かドラマ音源がついてくるので一緒に買ったほうが良いです。ドラマCD付けておいて1000円っておかしいよ……

 

以上映画部門でした。
なんというか、実写映画でも百合と言えるような作品が増えてきていい時代になったと思います。
阿佐ヶ谷姉妹ののほほん二人暮らしとかもそうですけど、こういう作品がもっと増えてきたら良いなと思います。

選定対象外だけどよかったやつ

今まで知らなくて今年読んで良かったなぁと思った作品を紹介させてください。
めちゃくちゃいい作品なので。

彼女の恋が叶えばいいのに

主人公のヨウという女の子は、友人のミサキに恋をしていました。でもミサキにはそんなことは言えず、親友というポジションを取り続けます。しかしミサキは生徒会長でモデルの皆藤レンという男に思いを寄せています。ミサキの恋を応援しつつも、ミサキを自分のものにしたいヨウが取った行動とは──

これも「ひらいて」と同じように、男と女と女の三角関係の作品ですね。ヨウはミサキが好きで、ミサキはレンに思いを寄せていて、レンはヨウが好きという関係です。
この作品自体が別冊フレンドで連載されていたもので、少女漫画ベースの百合作品です。百合と少女漫画は切っても切れない関係にあると思いますし、2010年代前半の百合漫画の表現手法は全部少女漫画のソレだと思っています。この作品はその少女漫画の表現手法を用いて百合をやるのですごく心に沁みるものがあります。
ヨウがミサキに対して恋愛感情を抱いてることに気づいたときの表現とか、その気持を伝えるとミサキとの関係がダメになってしまうとか。表現的には少し古いかもですが、どうしても生まれてしまう葛藤の描き方が本当にいいなと思います。

少女漫画の表現手法で描かれる百合、本当に大好きです。ちなみにこれ2020年に1巻が出て2021年には3巻で完結となってます。最後には百合で終わるめちゃくちゃいい作品です。

どうしてここに書くことになったかと言うと私の少女漫画dig力がめちゃめちゃ弱いからです……。少女漫画方面でやってる百合も拾い上げれる人になりたいです。マジで。

今夜すきやきだよ

家事は苦手でバリバリ働きたいし、恋もしたい恋愛体質なあいこ。一方、家事が好きだけれど恋愛はいまいちピンとこない絵本作家のともこ。そんな二人は高校の同級生の結婚式で出会います。二人の生活を話し込み、「理想の相手が見つかるまでとりあえず結婚しようよ」というともこの一言で二人は一緒に住むことに。二人の結婚に対する価値観を話し合う場が今日も開かれるのです。

百合と言われれば百合だけども、ポリアモリー的な生活のフシが強いかなぁと思いました。
あいこはとにかく結婚したい!!という欲が強い女で、彼氏を見つけては相性見てを繰り返すのですが、やっぱり合致する人は見つからず。一方ともこは恋愛したい気持ちがまったくなく、仕事先の人から恋愛の良さとかを説かれてもよくわからず。と、今を生きる女二人の話です。
最終的にあいこはいい人を見つけて結婚……という感じにはなりますが、結婚という大きな壁にぶつかるとこでお互いに見えてこなかった価値観の小競り合いみたいなのがかなりあります。それをともこを含めた3人で乗り越えて、ひとつの家庭を築くという、なんとも現代的なお話です。

結婚が生み出す障壁とか残酷さが刺さるくらいにかかれているので、結婚という制度を考え直すにはいい作品かもしれません。私は頭痛がして結婚は糞だと本気で思いました。

まとめ

今年の百合作品、いかがだったでしょうか。私の価値観が変わってきたというのもあるのですが、やっぱり恋愛主体から+αになってきてるだなと思います。
長々と書きましたが、次の作品だけ覚えて帰ってくれると嬉しいです。

  • 今日はカノジョがいないから
  • 愛されてもいいんだよ
  • かけおちガール
  • 今日もひとつ屋根の下
  • 夢の国から目覚めても
  • 白い薔薇の淵まで
  • ベイビーわるきゅーれ

2022年は女性向け漫画の百合をもっと探せていければなと思います。
では皆様良いお年を。ごきげんよう