百合とメガネと大体駄文

ブログ名のとおりです

誰も聞いてないだろうけど線形空間の話がしたい

どうもこんばんは、皆さん線形代数やってますか?

線形代数って訳解んないですよね。最初によくわからん掛け算をさせまくる行列が出てきたと思ったら次によくわからない空間の話をさせれ、最後には固有値がどうのこうのとか言われて対角化させられたり、シュミットの正規直交化法とかやったり。

最初から最後まで何してんだお前って感じです。

とはいえ、線形空間って結構理解すると他に物事を置き換えて話すときにめちゃくちゃ便利じゃなねえのかなと思うときがあるんですよ。
それをできるだけ伝えれるように書いてみようかと思います。

列ベクトル

よく見るこいつです。

 { \displaystyle
\begin{pmatrix}
a_1\\ 
\vdots\\ 
a_n
\end{pmatrix}
}
「なんでわざわざ縦向きに書くんだよ」とかいろんな文句言われてそうなこいつ。

そんな列ベクトル、結構優秀じゃないのかなぁと思います。
\(a_1 \) からずっと続く\(a_n \)までの要素をひとかたまりにしたのが列ベクトルって思うと結構すごいんですよ。
んでこのような塊を作ると何が嬉しいかっていうと、こんな感じでものを書けるんですよね。
{ \displaystyle
\begin{pmatrix}
名前 \\
年齢 \\
\end{pmatrix}}
とすると
{\displaystyle
A_1 = \begin{pmatrix}
焼肉太郎 \\
15 \\
\end{pmatrix},A_2=\begin{pmatrix}
蕎麦次郎 \\
17 \\
\end{pmatrix}}
みたいな。つまり、複数のデータを一つのデータの塊にして表せるんですよね。
これだとちょっとわかりにくいので、こうしてみましょう
{ \displaystyle
\begin{pmatrix}
攻撃力 \\
防御力\\
\end{pmatrix}}
とすると
{\displaystyle
B_1 = \begin{pmatrix}
23 \\
15 \\
\end{pmatrix},B_2=\begin{pmatrix}
17 \\
22 \\
\end{pmatrix}}
ちょっと線形代数っぽくなってきました。
んでこれをプロットするとこう。
f:id:dst0m:20180811031240p:plain:w400
と、こんな感じでデータをプロットできるわけです!すごい!

基底

大体こいつが出てくる前に一次独立とか一次従属とか言われて「は?????」ってなるからよくわからないやつって認識になるアレ。
そもそも基底の定義に一次独立ってあるのが悪い。
超ざっくり説明すると
・任意のベクトルは基本的なパーツを使って表せる
・しかし、その基本的なパーツは他の基本的なパーツのスカラー倍の和で表せてはいけない
というものです。このパーツの組が基底です。
この後半の訳わからないこと言ってるのが一次独立ってやつです。

一次独立

出たので一応紹介だけ。
\(
\begin{pmatrix}
1 \\
0 \\
\end{pmatrix},\begin{pmatrix}
0\\
1 \\
\end{pmatrix}\)とか \(\begin{pmatrix}
1 \\
0 \\
0 \\
\end{pmatrix},\begin{pmatrix}
0\\
1 \\
0 \\
\end{pmatrix},\begin{pmatrix}
0\\
0 \\
1 \\
\end{pmatrix}\)
こんなのが一次独立の例です。
{\displaystyle
 \begin{pmatrix}
1 \\
0 \\
\end{pmatrix}}ってどう頑張っても\( \begin{pmatrix}0\\1\end{pmatrix}\)を何倍しようが\(\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}\)にはならないじゃないですか。
\(\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix}\)も同様に、どう頑張っても\(\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix}\)を掛けても足しても引いても表せない。こういう組み合わせを一次独立と呼びます。
\(\begin{pmatrix}3\\0\\2\end{pmatrix},\begin{pmatrix}1\\1\\3\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\1\\2\end{pmatrix}\)とかも一次独立です。
一次独立かどうかの判定方法って色々あるんですけど、どんな場合でも使える奴だと
列ベクトルを集めてきて1つの行列としてみなして、\(Ax=0\)を解いたとき、\(x\)が零ベクトルになってたら\(A\)を構成する列ベクトルは一次独立って言えます。
詳しいことは別のサイトとか本とか見てほしい。

ちなみに一次従属ってのは一次独立でないベクトルの集まりのことを言います。(そうなら一次独立でないって言っとけよって感じですけど)

話を基底に戻しましょう。

さっきも話したように、基底ってその空間の単位みたいな感じなんですよね。
基本単位…とまでは行かないけど、まぁまぁ単位単位してます。
んで基底の条件にあったように、基底の組み合わせで1つの列ベクトルは表せます。
例えば\(\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\1\end{pmatrix}\)を基底とすると、
\(\begin{pmatrix}5\\3\end{pmatrix}=5\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}+3\begin{pmatrix}0\\1\end{pmatrix}\)ってな感じで。
他にも\(\begin{pmatrix}3\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\4\end{pmatrix}\)を基底とすると、
\(\begin{pmatrix}5\\3\end{pmatrix}=\dfrac{5}{3}\begin{pmatrix}3\\0\end{pmatrix}+\dfrac{3}{4}\begin{pmatrix}0\\4\end{pmatrix}\)ってな感じ。
とまぁこんな性質持ってるのが基底です。

この基底ってのが割と何でも話に使えるんじゃないのかなーと思ってて、
例えば人それぞれって物事に対するしんどさって違うじゃないですか。
でも、それを明確に表せなんて言われても無理じゃないですか。
例えばパソコン得意なAさんとパソコン苦手なBさんが同じパソコンを使った作業をしてもらうことに対してのしんどさは
Aさんだと0.01、Bさんだと5くらいだとしましょうか。でも絶対的なしんどさを表すと1になるって状況を考えましょう。
ところがAさんは英語が苦手です。でもBさんは英語が得意です。この二人に翻訳の仕事してもらいましょう。
これもAさんからしたしんどさは8で、Bさんだと0.4。でも絶対的なしんどさは4とする。
これを列ベクトルでまとめてみましょう。
まずこんな感じの\(C\)ベクトルを考えましょう。
\(C=\begin{pmatrix}パソコン作業のしんどさ \\ 翻訳作業のしんどさ \end{pmatrix}\)
まず、絶対的なしんどさは1と4なので
\(C_1 = \begin{pmatrix}1 \\ 4\end{pmatrix}\)
と表せます。
そして、この相対的なしんどさを係数とみて基底と\(C_1\)の関係について考えてみましょう。
これをAさんからみたしんどさから逆算してAさんが\(C_1\)に対する基底を考えます。
Aさんからするとパソコンの作業のしんどさは0.01、翻訳作業のしんどさは8なのでAさんの基底は次のようになります。
\(\begin{pmatrix}100\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\0.5\end{pmatrix}\)
これを使って\(C_1\)を表すと
\(C_1 = \begin{pmatrix}1 \\ 4\end{pmatrix}=0.01\begin{pmatrix}100\\0\end{pmatrix}+8\begin{pmatrix}0\\0.5\end{pmatrix}\)
同じようにBさんについても同様に求めると
\(\begin{pmatrix}0.2\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\10\end{pmatrix}\)となり、\(C_1\)を表すと
\(C_1 = \begin{pmatrix}1 \\ 4\end{pmatrix}=5\begin{pmatrix}0.2\\0\end{pmatrix}+0.4\begin{pmatrix}0\\10\end{pmatrix}\)
となります。
では、ここで出てきた基底って一体なんだろうと考えると、AさんとBさんのパソコン作業のポテンシャルと翻訳作業のポテンシャルの高さを表しているんですよね。
一般的にポテンシャルが高かったらしんどさって減るじゃないですか。好きなことに関連した作業と、好きじゃないことに関連した作業をくらべると当然好きなことに関連した作業をしたほうがしんどさは少ないとおもいます。

さて、ここまでぐだぐだと周りくどい言い方をしてきた上に何言ってんだお前ってものを見せてきましたがまとめます。
人がなにかに対して思うことって同じだとしても、その認知自体に対しての揺れってのはあるもので、辛いカレーライスが好きと言ってココイチで3辛頼む人もいれば、8辛頼む人もいます。
でも結局それはその人達の辛いの認知の差であって、辛いって事象に対しては代わりはないんですよ。
絶対的な量を相対的な表し方にしても同じものを表せてるってことを考えるときにはこの基底ってのがめちゃくちゃ便利だと思ってます。
だから人には人の乳酸菌ならぬ、人には人の基底だと言いたいです。
たとえお前が辛くなくてもこっちは辛いんだ。俺とお前の基底違うもん。

最後に

とまぁ結構何言ってるのかわからない感じでこれを終えますけど、初めて普通の授業でやるようなアプローチとは違ったアプローチで攻めてみたんですけど、大まかには通じるっぽくて結構面白いと思います。
線形空間、便利だよ!みんな線形代数やろうな!


参考文献
LIBRARY 工学基礎&高専TEXT12 線形代数 数理工学社 ISBN:9784864810036
新装版 線形代数学 日本評論社 ISBN:9784535786547