百合とメガネと大体駄文

ブログ名のとおりです

このレズセックスがすごい!2023

皆さんごきげんよう。今年もこの季節がやって参りました。
年越しまで2時間を切った中、大慌てでこの文章を書いています。
今年は自分が百合を追いかける力が衰えてきたことを感じており、かなり取りこぼした作品も多いなと自覚しております。

具体的には、今年あった百合的なニュースを全く覚えてないのです。
出版社の動向だと

  • 河出書房新社が本気で百合をやろうと百合短編集「wiz」を刊行
  • 祥伝社が「照子と瑠衣」「夜の向こうの蛹たち」などを刊行

くらいがパッと思いつく限界のところです。毎年どこかしらの出版社が百合に参入してくれるのは本当にいいことですね。それが続いてくれたらもっと嬉しいのですが。

あといい加減この記事タイトルやめたいです。来年にはなんとかします。

レギュレーション
このページでは以下に該当する作品を対象としています。

  • 2023年に書籍化した単行本
    • 収録作の初公開日は考慮しない
    • シリーズものの2巻以降と同人作品は対象外
続きを読む

このレズセックスがすごい!2022

皆さまごきげんよう。年末感が無いことに焦っています。 今年も百合の総まとめ感想文を書きます。

レギュレーション
このページでは以下に該当する作品を対象としています。

  • 2022年に書籍化した単行本
    • 収録作の初公開日は考慮しない
    • シリーズものの2巻以降と同人作品は対象外
  • 2022年に封切り日が定められている映画・ドラマ

2022年を振り返る

今年も色々ありましたね。映像・実写系のニュースでいくとこんな感じでしょうか。

  • わたゆりアニメ化決定・2023年放送決定
  • 「マイ・ブロークン・マリコ」の上映
  • 舞台「やがて君になる encore」公演
  • 彗星のごとく現れた「リコリス・リコイル」
  • 「作りたい女と食べたい女」のドラマ化&放映

漫画方面もいろいろあったと思いますが、今年は完結した作品がかなり少ない気がしています。 むしろ昨年頃からの作品がどんどん長続きしていて、まさに「継続の一年」だったのかなと思います。

あと誰も言っていない気がするので大声で言うのですが

今年は河出書房新社と台湾レズビアン文学がアツい!!!!!アツかった!!!!!!!!

河出書房新社といえば、昨年10月に中山可穂先生の名作「白い薔薇の淵まで」を突然復刊させた出版社です。

今年だけの業績まとめておくと

  • 第4回百合文芸コンテストの協賛
  • 帝政ロシア×百合×SFの「蝶と帝国」を発刊
  • 結婚詐欺師に巻き上げられたお金を取り返し、その姪との逃避行を描いた 「ペーパーリリイ」を発刊
  • 女学校時代からの友人4人の人生を描いたシスターフッド小説「わたしたち」を発刊
  • どうして? 中山可穂先生本人が最高傑作と言っていた「感情教育」を復刊
  • 2023年に百合小説アンソロジーの刊行が決定

こんな感じで盛りだくさんです。
作品ジャンルも1つに固執してなくてSF・ロードノベル・シスターフッドと、広いジャンルでやってるのがすごい。
一体河出書房新社になにがあったんでしょうか。

そして台湾レズビアン文学もアツかったんですよ。

3つも出てるけど書いてる人は実質一人なんですよね。
上から邦訳本・文庫化した過去作2作なのでルール違反気味ではありますが、どれも好きな系統の作品でした。
1990年代〜2000年代の中山可穂松浦理英子先生が好きなら、絶対読んで損はないので読んでほしい。(作中に「白い薔薇の淵まで」とか出てくるし……)

オタクの早口と大声おわり。本題に入りましょう。

漫画編

デバヤシ・フロム・ユニバース

デバヤシ・フロム・ユニバースの画像(comicブーストより)

お笑い芸人を目指すシューが、ある日公園で出会った宇宙人キンコと漫才コンビを組んで漫才師を目指す作品です。 宇宙人って設定のベクトルがガチで、人前で液状化したり、分裂するタイプの宇宙人です。

とにかくコンビとして漫才をやりたいシューと、悩んだり怒ったりする不機嫌なシューが好きじゃないキンコ。
そんなキンコはステージ上だろうがどこだろうが、宇宙人特有の能力でシューを笑わせようとします。

やっぱり漫才がテーマにあるせいか、ギャグ方向に面白い印象の一冊ですね。
だからといってギャグ漫画の気分で読んでいると、見え隠れするシューとキンコの関係にやれたりやられなかったりします。
個人的には今後に期待しています。(これ書いているときに2巻出たのを知りました。一敗。)

1話試し読みはここから

東の空が白むころ

東の空が白むころカバー画像 新書館HPより引用

男勝りな性格で、いっつもバンドの先輩とバカやっているハルナ。しかしハルナには友愛という気持ちでは抑えきれない相手がいました。
それは転入生の佳代。
音楽の趣味も近く、おっとりした性格で、ころころと変わるその表情にハルナは惹かれてしまったのです。
しかしハルナがその恋心を佳代伝えることができない理由に、ハルナの過去があるのでした。

作品設定・テーマ・描写方法。どれをとっても、少し前の百合作品の王道系統なやり方で大変嬉しくなりましたね……。
ハルナが佳代のことが大好きなのに告白できない背景とかもよくある設定なのですけど、何度ハルナが自問自答しても「勘違いじゃない」という強い本心がハルナを苦しめます。
本心隠して佳代の隣に居続けるルートもあったと思いますが、佳代が動くからこそのラストはとても良かったです。

2014年くらいの百合が好きな人に届いて欲しい作品です。

試し読み的なもの見つからなかったけど雰囲気はこんな感じです。

追伸: WebCMあったから見て。こっちのほうが伝わる

少女たちの痕にくちづけを

少女たちの痕にくちづけを(コミックニュータイプより引用)

森の奥深くにある学校で過ごす少女たち。この学校に通う少女たちは全員吸血鬼なのです。
この学校には「姉妹制度」があり、14歳になった生徒には「お姉さま」となる上級生が一人下級生に付きます。 お姉さまになる上級生と出会うのを楽しみにしていたエミルは、妹になる生徒を全員追い返してきた問題児イブと姉妹になることに。

ある日イブから吸血を教わることになって人間狩りに出かけた二人ですが、帰り道にヴァンパイア・ハンターに襲われてしまいます。
撃たれてしまったイブを応急処置しようとしたエミルは、自らを血をイブに捧げるのでした。

吸血鬼漫画だと「吸血鬼と人間」という構図が今まで一般的なのですが、これは吸血鬼たちの物語という作り方をしているところが特長ですね。
一話の吸血鬼が吸血鬼に血を捧げるシーンが大変よかったです。
二話以降になると、イブもだんだんエミルのペースに乗せられて生徒と交流していくのも見どころですね。 学園の脅威としてヴァンパイア・ハンターも出てきますし、ただ吸血鬼たちが安心して暮らせる場所というところで終わらせてないのが個人的に好きです。

きみが死ぬまで恋をしたいが好きな人は読んで。絶対に刺さるから。

1話試し読み

リリィ・リリィ・ラ・ラ・ランド

リリィ・リリィ・ラ・ラ・ランドイラスト コミックキューン公式ページより引用

またもや女学校モノです。今回はちゃんと人間です。

寮の自室のスペアキーを誰かと交換することでペアとなる「番い制度」があり、いつしかそれが告白の象徴と言われている全寮制女学校の話。
そんな女の園で特に注目されているのが、5人のお嬢様による招待制のお茶会。
ある日お茶会への招待状とともに鍵を受け取った小咲は、鍵の正体を聞くためにお茶会へと足を運ぶ。
すると血相を変えた5人から番いを申し込まれることに──。

今まで姉妹関係など、ペアでなにかをすることが多かった女学校モノに、ハーレムがテーマとなる作品が出てきました。
こういう方向で新規性が出ると嬉しいですね……。
その後お嬢様達の番いの取り合い合戦が始まるんですけど、これが普通に面白い。ちゃんと心情に訴えかけてくるので、小咲の心は揺れ動きっぱなしです。

まあ一番びっくりしたのって、これがMFCキューンから出てることなんですよね。
「どれが恋かがわからない」「ケイヤクシマイ」とかもMFCキューンでやってますし、あの雑誌からこういう系統の作品が出てくるとは思いませんでした。
今後のMFCキューンに期待してます。

1話試し読み

スケバンと転校生

スケバンと転校生カバー画像 ニコニコ漫画より引用

スケバンのあつ子と、転校生の凛々は変わった遊びをやる関係です。
その遊びは「凛々が持ってきたかわいい単語をあつ子が暇なときに1日5個まで読み上げてもらう」という遊び。
「バカみたいに嬉しそうにしてる凛々を見ると可愛い」と思うあつ子と、「喧嘩が強くてかっこいいあつ子が可愛い言葉をいうギャップが可愛い」と思う凛々。
この気持ちの名前はもしかして恋なのでは……?というお話。

ギャグテイストな漫画なんですけど、キャラの感情とかはしっかり表情とかに描くタイプの作品で、表情の書き方がとにかく力強くて良いんですよね……。
話を進めれば進めるほど相手のことを意識しだして柄でもないことをやるようになり、その親密さを埋めていく過程を楽しめたら幸いです。

1話試し読み

春綴る、桜咲くこの部屋で

春綴る、桜咲くこの部屋でカバー画像 ガンガンONLINEより引用

大学に入学したときに出会った春喜と桜。互いに惹かれ合った二人は大学を出た後も一緒に暮らし、笑って、泣いて、すれ違って、重なって、また笑い合う。
そんな二人に別れは突然訪れ、桜は5年前の春に亡くなってしまいました。
そして桜を失った5回目の春。春喜は窓辺から桜の樹を眺めていると、桜が生前に言っていた「待っている桜の花びらをキャッチできると願いが叶うんだ」という言葉を思い出す。
舞い散る桜の花びらをつかんだ春喜は「桜ちゃんを返してよ!!」と泣き叫んでいると部屋から物音が。
桜が春喜と出会ってから毎日書いてた10年日記が本棚から落ち、そこには桜の姿が見えたのでした。

桜を失った春喜の、二人で綴っていく春喜の気持ちの整理がテーマの作品です。
もうね。導入の時点からとにかく重たすぎる。トクヲツム先生のTwitterじゃ春喜と桜がしょっちゅうイチャイチャしてるイラスト上がっているから、ハッピーな話かと思ったら全然そんなことなかった。
つらいよ、つらすぎる。重たい百合が大好きなんですけど、これは途中で読むのを諦めちゃいそうになるくらいつらかったです。
こういうところを含めても個人的には好きな作品でした。
2巻完結ですし、重たい作品を受け止めて動けなくなりたい人におすすめです。

1話試し読み

文芸編

ミーツ・ザ・ワールド

ミーツ・ザ・ワールドカバー画像 集英社HPより引用 婚活合コンで泥酔し、路上で吐いているところをキャバ嬢のライに拾われた由嘉里。
そのまま家に上げられ、婚活を始めた経緯や合コン話をする由嘉里。だが、ライには由嘉里の辛さが響きませんでした。
むしろ「周囲に恵まれてすごく幸せなように見える」と言われ、カッとなった由嘉里は「あなたには分からない」と言い放ってしまいます。
「じゃあ300万円あげるから顔を変えてくればいい」「私死ぬの。だからお金あげるよ」とライから言われた由嘉里は、言っている意味が分からず「私は嫌! 認めない!」とライの死を止めるのでした。
そんな歌舞伎町の一室から始まる、死にたいキャバ嬢と腐女子銀行員のお話です。

どストレートな百合かと言われると怪しいですが、百合文壇バーの話題にもあがったことですので百合とします。
とにかく作品に出てくる登場人物のキャラが全員濃い。
ミート・イズ・マインというコンテンツが大好きな腐女子銀行員の由嘉里、死にたいキャバ嬢のライ、ホストで家出少女を連れ帰る既婚者のアサヒ、この世のすべての不幸を具現化した小説家のユキ、等々。
今まで恋愛して、恋人を作って、結婚して、家庭を持って……と、絵に描いたような普通を勧めるものが人生だと思っていた由嘉里が、上記のような人たちと出会って「自分は自分の好きに生きていいんだ」と自分を肯定できるようになるまでの過程を非常にテンポよく書いている作品だと思いました。
ラストで加速するライと由嘉里の間柄がとてもよいです。そこを楽しみに読んでいるうちに、この作品にのめり込んで自分を肯定できるようになれたらいいなと思います。

ペーパーリリイ

冒頭に話した、結婚詐欺師の姪と結婚詐欺師に騙された女が逃避行に出る話です。
夏休みに家でダラダラと過ごしていた高校2年生の杏。インターホンに応じて玄関を開けると、そこには叔父の詐欺相手のキヨエがいました。
杏はキヨエとやり取りをしているうちに「この人は叔父との結婚を真剣に考えて、勇気持って家訪ねたらのんきな顔した娘が出てきてしまった」というキヨエのことをかわいそうな人だと感じました。
そのキヨエをどうにかしてやりたい一心で「いくら?」と聞き、キヨエが言った300万円とおまけに200万円を用意する。
そして叔父とキヨエの思い出の場所という、百合が咲く谷間で待ってるから返してほしかったら来いという書き置きを残し、二人で逃亡するのでした。

ばったん先生をイラストとして起用した河出書房新社の人は一体何者ですか? イラストにつられて買っちゃったので河出書房新社の思うツボです。
年が倍くらい違う杏とキヨエが逃避行をするロードノベルです。どストレートな百合というよりもガールズライフとかシスターフッドとかのほうが近いかも。
民宿やらサービスエリアを転々としながら、途中でヒッチハイクするおばあちゃんを拾ったり、行き倒れているところをボンボン大学生に拾われたりと波乱万丈な逃避行です。
ここで出てくるヒッチハイクおばあちゃんとか、ボンボン大学生の考え方が今らしくて面白いなと思いました。
すごく爽快なストーリーと文章で、読みだしたら止まらなくなるのでおすすめしておきます。

なぜか試し読みがあった。読めるうちに読んでおこう。

向日性植物

台北の女子校に通う私は、先輩の小游(シャウヨウ)と惹かれ合いそして小游の元恋人である小莫(シャオモウ)と3人で高校生活を送ります。
そして私が受験生になった時、受験という壁を乗り越えるために小游との距離を置くが、後に大きな失恋の始まりとなるのです。
そんな3人の苦悩を描いた作品です。

私と小游と小莫の3人が遊びながらも、各々が抱える同性愛というものに対して悩んで苦しんで成長してというものがテーマです。
これを読むまで台湾のレズビアン事情を一切知らなかったのですが、丁寧な脚注やら説明が載っており、そういう意味でも勉強になった作品です。
原本作者も「私はレズビアンが自殺しない話が書きたかった」と言うほど、台湾のレズビアン文学は暗くて切なくて自殺する話ばかりらしいのですが、これは自殺せずに向き合っていく付き合い方のお話でしたね。
中山可穂先生とか松浦理英子先生の系統が好きなら読んで後悔しない作品です。

独り舞

台湾から来日し、会社員として働く紀恵。彼女は、死に格別な思いがあるわけではないが生に対する執着もなく、生きる辛さを我慢できる範疇を超えたら死を選ぶという死生観を持っています。
このような死生観を持つようになったのには、紀恵の様々な過去がありました。
その過去から逃げるように台湾から日本へ移住しますが、過去を完全に消すことはできません。
日本へ逃げたにも関わらず暴かれてしまった過去に耐えきれず、紀恵は覚悟を決めるのでした。

先程の向日性植物を翻訳した李琴峰先生のデビュー作が文庫として復刊しました。
向日性植物が光の作品となるなら、こちらは闇の作品と言えるでしょう。
自分の肉体や精神を荒々しく表現した作風はデビュー作ならではの味が出ていて好きです。

これもなんですけど、中山可穂先生の暗めな作品が好きな人は絶対に刺さるから本当に読んで欲しい。
こういう日本の90年代後半に活発だったレズビアン文学が、国をまたいで現代に出るのは非常に嬉しいですし、今後も楽しみにしています。

映画編

やがて海へと届く

お願いです!! こんな駄文をここまで読んでくれて感謝しております!!
ですが、あなたの人生をもう30秒ほど貸してくれませんか!!! どうかこのトレーラー動画を見てください!!!!!

というわけで「やがて海へと届く」のご紹介です。
真奈には、どこか掴めなくて常に飄々とした親友のすみれがいました。そのすみれは一人旅に出たまま帰ってくることはありませんでした。
そして帰ってこなくなってから5年が経ちますが、すみれのことを死者として扱う周囲を真奈は受け入れることができずにいました。
すみれが遺したものを受け取った真奈は、すみれを探しに旅へ出るのでした。

「マイ・ブロークン・マリコ」「春綴る、桜咲くこの部屋で」と並ぶ、大事な人が亡くなった時に、遺された人はどうするのかがテーマの作品です。
大事な人が亡くなって、その人がいたことすらを忘れてしまうことに対しての恐れ。そして今後その事実をどう受け入れて死を乗り越えていくかの描き方が良かったですね。
この恐れと、死への向き合い方の描き方が好きで原作小説を買いましたが、映画のほうがストーリーの建て方がキレイなので映画をおすすめします。
ただし、震災表現がかなり濃厚なので苦手な方はご注意ください

ユンヒへ

ごめんもう2分ほど人生を貸して欲しい。

韓国に住むユンヒと、小樽に住むジュン。昔は二人とも韓国に住んでおり、その頃は親友同士だったのですが、二人は別れざるを得なくなりました。 それから20年以上、顔も連絡も合わせることはなかったのです。
ところがある日、ジュンが出すつもりがない手紙をユンヒに宛てて書いて置いていたところ、おばさんが手違いで出してしまいました。
その手紙を受け取ったユンヒの娘セボムは、ユンヒをジュンに逢わせようとするのでした。

今年見た映画の中で一番良かった映画。これを見た翌々週くらいにリズと青い鳥を見たけど、リズでさえ「味がついてるな〜〜〜」と思わせられた。
それくらいすごく繊細で研ぎ澄まされている作品です。
何言ってもネタバレになりそうだからこれ以上言えるものがなにもないのですが、リズと青い鳥が好きで実写映画に抵抗ない人は本当に見てほしいです。

番外編

雨降り晴れて花ひかる

番外編なので雑にいきます。「2DK、Gペン、目覚まし時計。」や「ハロー、メランコリック!」を描いている大沢やよい先生の新作です。
NLベースで百合な展開をやっているため、レギュ的に微妙か感じがするため落選です。

大沢やよい先生の絵が好きな人・辻堂葵の女、頼むから試し読みが2話まで公開されているから2話まで読んで欲しい。 https://comic.pixiv.net/viewer/stories/114786

おわりに

なんか今年の私やたらと死がテーマな作品を挙げてない……?
作品チョイスの偏りがすげえなぁって思いました。レズビアンの話か人が死ぬ話ばっか選んでる。
今年は「女による女のためのR-18文学賞」の過去作を掘りつつ、文芸新刊を追い、映画もたまに見る生活をしていました。
そのため漫画が全然読めていなくて、取りこぼしている作品とかめっちゃあるだろうなと思います。 来年は台湾レズビアン文学と河出書房新社を追いかけつつ、漫画を読む生活にしたいですね。

それでは皆さんごきげんよう

【あとがき付き】百合文芸コンテストに応募しました。

皆様ごきげんよう。そしてあとがきから読む派の皆さんはじめまして。みつえもんです。

表題の通り、この度百合文芸コンテストにさせていただきました。
女が女に爪を切らせるお話です。本文は以下のリンクから読めるので気になった方は読んでくれると嬉しいです。

www.pixiv.net

 

以下あとがきです。

 

 

 おおよそ3年ぶりに筆を執りました。以前書いた作品は、「ゆりーだむ」という合同誌に寄稿させて頂いた作品で、フーリエ変換は百合でしょ。という思いをこめ、フーリエ変換をテーマに書かせてもらいました。小説なのに横書きで、数式を殴り込むというフリースタイルを許してくれた主催には本当に感謝しております。まだ通販やってるようなので、在庫が無くならないうちにご購入ください。百々地ももさんが書かれている「可愛いあの子」という作品がとても素晴らしく、私の作品よりも面白いです。

 さて、この作品を書いた経緯なのですが、私が爪切りを見失って探し回っていたときに、タチが爪切り失くしたらどうするんだろ。ネコに切らせるのかな。えっ、それってヤバくない!? と一人で大盛り上がりしました。ふざけてTwitterに妄想を流していたら止まらなくなり、何かに囚われたように、プロットもろくに書かず10日間くらいで一気に書き上げました。タチとネコという前提があるので、もうちょっと主従関係を強めに書ける描写力があればなと、ちょっと悔しいところはあります。

 私自身、爪の手入れには全く興味はないのですが、人のネイルを見るのは好きです。
資料としてネイルサロンのページや施術動画を見ては「可愛い〜〜〜!!!!!!!!!!!!」という気持ちになれて良かったです。疲れたら時々見ようと思いました。

 普段から百合作品を読んでは感想を吐く機械になっているのですが、こういう創作を通して、面白い作品に必要な要素を自分なりに気づけたかなと思いました。またこうして文を書く機会ができたら、そこを意識して書きたいですね。あと、こういう性癖が濃くて薄暗い作品はもっと増えてほしいです。特に商業。

 

【影響を受けた本・作品】

なんかあとがきに書いたら面白いかなと思って書いてみます。

・日本語の作文技術 本多勝一
 意味が通じやすい日本語を書くにあたり大変参考になりました。これを読んでから、長文を書きたい気持ちがあり、少しは発散できたと思います。

・割り切った関係ですから FLOWERCHILD
 マッチングアプリをやったことがない人からすると、そこは未知の領域でした。この作品のイントロをベースに、色々なサイトを参考にして描写を整えました。

リップヴァンウィンクルの花嫁 岩井俊二
 これもイントロの部分とかを参考にしました。割と、誰も報われない話だと思うので、もしかしたら全体的に通ずるものはあるかもしれませんね。

・主従百合アンソロジー Rhodanthe
 主従関係って何……?と悩んで行き着いた先です。個人的に主従関係といえばBLと思っています。カーストヘヴン等の作品から引用すると良かったのかなと思います。

・今日はカノジョがいないから 岩見樹代子
 
今までの自分だったら、きっと甘くて平和な世界観を書いているのだと思います。クズに振り切った作品を書けたのは、この作品と岩見先生のおかげだと思っています。現在1巻好評発売中! 絵も綺麗でストーリーも面白く、何よりクズな百合! 私は大好きです。

このレズセックスがすごい!2021

ごきげんよう

今年もやります。

2021

今年の百合は今年のうちにまとめておきましょう。

百合的な目線で振り返る2021年

待ちに待った裏世界ピクニックのアニメが放送されたことが大きな出来事かなと思います。

4月頃にエデンの処女が完結されたのもあって、リュエルコミックスが異端の百合フェアをやっていたのも印象深いですね。

最近出版社が自社作品を並べて展開するフェアをめっきり聞かなくなりましたね。(多分KADOKAWAとかはやっているんだろうけど覚えていない)
2018年~2019年の勢いはどこへ……

個人的な話なのですが、今更シスターフッドという概念を知りました。(「女と女が徒党を組んで社会的ジェンダーからの解放を目指すために抗う」みたいな解釈でいます。本当はもうちょっと違うとは思うのですが。)
そのせいか、今年はすごくシスターフッドな作品が多かったかなぁと思います。

後々紹介する「踊り場にスカートが鳴る」「作りたい女と食べたい女」もそうですし、河出書房新社から「覚醒するシスターフッド」という国内外からシスターフッドをテーマにした作品を集めたアンソロジーも発刊されました。
(アパートママ友ネットワークで、同じアパートに住むモンスター住人をぶっ潰しにかかる「パティオ8」って作品がすごく面白かったです。)

他にも講談社一迅社が手を組みながらレズ風俗作品を推し進めているのを感じました。
2019年からちょこちょこ出ては割と重版がかかっていた、一迅社の「レズ風俗アンソロジー」シリーズから需要を感じたのでしょうか。
一迅社からは「彩純ちゃんはレズ風俗に興味があります!」の連載と単行本化。
講談社からは2020年から連載されていた「愛されてもいいんだよ」の単行本化が面白いなと思いました。それぞれユーザー目線とキャスト目線でお互いの話が対照的になっているのも考えられているのかなぁと思います。(2作品ともまた後で喋ります)

あとは6月以降の映像作品がかなり勢いがあったなと感じます。

リストアップすると

という感じです。特に映画が多かったですね。人生で一番映画を見た年かもしれません。

いい映画が多かったので、映画の感想も置いておこうと思います。

 

前置きはこのくらいにしておいて、本編やって行きましょう。

いつもの選考条件です。

選考基準

・2021年に出版された書籍。(内容掲載が2021年以外でも単行本や短編集になって発売されたタイミングが2021年であれば対象)

・シリーズ物2巻以降は除く。

・同人作品は除く。

・面白かったので読んでほしい作品。

・今年は映画が豊作だったので、映画も含めます。封切り日が2021年のものを選びます。

続きを読む

百合履歴書

ごきげんよう。ご無沙汰しております。
なんとなく名刺的にサクッと投げれる自分の百合のルーツとかそういうのあったらいいな〜って思ったので書きます。オタクが自分語りしてるだけです。
名刺的にサクッと〜とか言ったがオタクはすぐ自分語りするから長い

要約

主に触れた作品・影響を受けた作品
2012 7 ゆるゆり(二期)」を見る
女と女がキスしてるシーンに驚愕して百合というジャンルを知る
2012 9 初めて百合姫を買う
(惰性で百合姫を買い続ける)
2016 「なんか最近百合作品の供給の増え方エグくね?」と気づく
百合作品digに熱を入れ始める
2017 5 マリア様がみてる」を全巻読破する
2017 オタクに勧めされて中山可穂作品にハマる
2018 3 青い花」を読む
この辺りで自分の百合に対するアイデンティティが固まってくる
2018 5 リズと青い鳥」を見る
2018 11 やがて君になる 佐伯沙弥香について」を読む
2018 12 「ルミナス=ブルー」を読む
2019 4 「定時にあがれたら」を読む
2020 11 朗読劇「やがて君になる 佐伯沙弥香について」を見に行く
2021 3 「夢の国から目覚めても」を読む

百合にたどり着くまで

アニメを見始めたきっかけ

友人から「日常」というアニメを見せられて深夜アニメの存在を知りました。ギャグアニメとしてずっと見れるアニメで暇さえあれば見るくらいには当時良く見てました。
そこから「無駄に深夜まで起きて民放深夜アニメを見る」ということをやるようになり、とりあえず民放でやってる深夜アニメは片っ端から見てました。

ゆるゆりにぶち当たる

この調子で2012年の夏アニメも見るわけですが、ここで初めて「ゆるゆり」を知りました。 「日常」のようなギャグ路線でおもしろいな〜〜〜と見ていましたね。最初までは。

いつものように26時か27時まで起きて(田舎なのでこの時間じゃないとやってない)、ゆるゆりを見ていたわけですが、突然キャラクター同士がキスし始めたんですよ。

え?まって?何が起きてんの?こんな軽率に女と女がキスするもんなの?これって何?
と、当時の私は大変驚きました。

その後どういう覚え方を知りませんが「百合」というジャンルと出会いました。
当時は「女の子同士がいちゃついたり恋愛したるするジャンル」みたいな認識してたと思います。

百合というジャンルを知ってから

初めて百合姫を買った

多分ネットでゆるゆりのSSなんか読んでたような気がします。でもなんか違うな〜と思うところもあって、ちゃんとした百合を知ろうと思って百合姫を買いました。ここから沼への入り口です。

まず驚いたのは装丁ですね。当時なもり先生が表紙の連載やっていて、表紙がもう漫画の1ページ目になってるという仕掛け。
雑誌の表紙なのに特集やらの見出しが無いってすごいし、文学的なキャッチコピーが表紙と背表紙に書いていてすごい美しいと思いました。
作品も全部女の子同士で恋愛したり日常をすごしたり、耽美系からシリアス系、ギャグまで揃ってたんじゃないんでしょうか。

で、たまたま載ってた森島明子先生の「天使なカノジョ」がすごい刺さりました。
女の子が女の子に対して性欲をぶつける妄想をする日々を送るというモノローグから、友人になり、恋人になりと、すごい世界を見てしまったものだと思いました。

ちなみにこの作品は「女の子合わせ」という単行本に収録されています。面白いので是非。

天使なカノジョの続き読みたい!

と、次号の百合姫も買いました。2つ読み切りが性癖に刺さりました。

  • 沼、暗闇、夜の森

死人と喋ることを趣味としてるクラスで浮いてる黒田が、クラスで人気のある磯谷に片思いをしている話です。ある日帰り道で一人で帰る磯谷を見かけた日から、磯谷が黒田に話しかけ、親密になって磯谷にキスをされます。
しかし、心のどこかで「この磯谷は磯谷じゃない……」と疑う黒田が、磯谷が一人で帰っていたあの日のことを思い出します。
黒田は道端にあった金属ポールで磯谷を殴り殺したことを思い出します。そして死人となった磯谷と親密になったのです。という妄想をして日々を過ごす黒田。というお話です。

なんかもう世界観と叙述トリック的な仕掛けが上手いですし、磯谷を殺したと知ったときの黒田の心理描写がすごく丁寧で何度も読み倒しましたね。
百合作品収集に熱入れ始めて収録された単行本買ったときはちょっと嬉しかったです。

さかもと麻乃先生の「沼、暗闇、夜の森」という作品に収録されてます。

  • この愛の不幸は

自分が百合姫を現在まで買い続けるきっかけになった作品です。2013年1月号の百合姫に週力されていて、第八回百合姫コミック大賞 瑠璃賞受賞作品として載っていました。

問題児な双子の姉と、品行方正な双子の妹の話です。姉はなんでも物を壊す問題児として学校生活を過ごている一方、妹は生徒会も努めているような真面目な人です。
ある日、学校の備品が壊され、姉が悪いと教師一同姉を攻め立てますが、姉はやっていないと無実を表明します。姉を守る唯一の存在である保険医が調べたところ、備品を壊したのは妹だったそうです。
妹は幼少期から姉が好きすぎるあまり、衝動で物を壊す人格の持ち主でした。その妹を姉は今まで影でかばっており、自分がやってない破壊行為も自分がやったといい続けたのです。
この関係は良くないと思った姉は「もうこれで終わりにしよう」と妹に告げ、妹が壊したガラスの破片で自殺を試みたところで話が終わります。

こんな読まされて性癖ねじ曲がらないの無理があるでしょ。今もたまに読み返してたりします。その後ふじはら先生の存在を見てないのですが、今どういう作品作られてるんでしょうね。

本当にいい作品なのに書籍化してなくてどうしようもなくなってる。国立国会図書館に行って読んで欲しい。

空白の時期

百合姫が2014年あたりから雑誌の方向性を変えてきまして、今まで金文体で「百合姫」って書いていたのがポップな丸字で書かれた「ゆりひめ」に変わりました。
なんか自分が好きだった百合姫じゃないんだよなぁと思いつつも、読み切りで大当たりを引いた過去が忘れられず、惰性で百合姫を読んでました。 百合姫以外の百合は?と言われると、桜Trickとか、きんいろモザイクとかNEW GAMEとか読んでました。多分。

突然百合の勢いを感じだす

2016年半ばくらいから、なんか急に百合とジャンル付された作品を多く見るようになったなと感じました。(初代ラブライブNHKでの放送とかが関係しているんでしょうか?)

とにかく書店でもTwitterでも百合って言われてる作品を見る機会がすごい増えました。
ちょうど百合姫の月刊化と時期が重なったのもあり、百合が過剰供給になりました。

この時まで割と受け身で百合姫を買って読んでたので「このまま新しい作品だけ触ってるだけじゃマズいし、もっと百合と言われてる作品を読みたい」と思うようになりました。

百合を読む

本腰入れて百合を読むか〜〜〜〜と色んな作品に手を出しました。
ここで触れてる作品以外にも中古の漫画集めてました。
森永みるく先生の作品とか、百乃モト先生の作品とか、森島明子先生の作品とか、西UKO先生の作品とか。

マリア様がみてる

まぁまずはここですよね。百合作品に触れてるとはいえ「マリア様がみてる」未読は流石に百合エアプかなと。何故か市立図書館に全館在庫があったので、圧倒的通学時間を利用して1日1冊ペースで読んでました。

やっぱり2000年代の百合を築いた作品ですし、ミッションスクールもの=百合みたいな概念を根付かせた作品だけあってすごい面白かったですね。
ロサ・カニーナ聖さま久保栞の二人だけの世界に逃亡するストーリーは面白かったし、志摩子乃梨子がスールになる過程は複雑な環境を乗り越えたからこそできる関係ですし、祥子お姉さまの生活感は本当の金持ちだなと思いました。
特に2度めのバレンタインのカード探しで志摩子が「乃梨子のカードを探したかったのに」というシーンは小説で読むことでしか得られない何かがあると思います。

中山可穂作品

通学時間に本を読むことを覚えたので、その流れで百合小説を調べ始めました。
オタクになんかいい百合小説ない?と聞いたら「深爪」をおすすめされました。 小説というフィールドで女と女が家庭を滅ぼすような激しい恋愛をして最後にはふたりともボロボロになるものが読めてすごい良かったです。

これも何故か図書館にいろいろあったので借りてきたり、古本屋で買ったりして色々読みました。 個人的に「感情教育」「白い薔薇の淵まで」「マラケシュ心中」「愛の国」が好きです。

最近「白い薔薇の淵まで」が河出書房から文庫が復刊したので手に取りやすいかと思います。
ダークな作品が好きな人は読んでくれたら嬉しいです。

青い花

これもゆるゆりにぶち当たった頃から作品の名前は聞いていた作品。マリみてと一緒に名前を聞くことが多かったので、マリみてと合わせて百合の二大巨頭だと勝手に思っています。

すごく丁寧に描かれた作品でしたね。
好きという感情は何なのか、恋愛とは何なのか、人付き合いとは。という感じで、いろんなキャラクターがでてきては様々な人間関係のあり方を描きつつ、あーちゃんとふみちゃんが周りの人にも影響されつつ関係が深まっていくストーリーが突き刺さりました。

アイデンティティが固まる

マリア様がみてる青い花感情教育・白い薔薇の淵まで・その他百合漫画に触れてきて、なんとなく自分が好きな作品の傾向を掴んだ気がします。

触れた作品に偏りもありますが、エロコメとかギャグよりも女の子と女の子が恋する様子を丁寧に描いていたり、好きという感情に対してキャラが思い悩む作品のほうが好きです。

アイデンティティが固まってから

表紙や帯で取捨選択するようになったので割と偏った百合ばっか摂取してます。
自分に合うかどうか分からない作品を見つけたら買ってから考えるようにしてます。

リズと青い鳥

Twitterで百合オタクがことごとくボコボコされていったのを見て見に行きました。 自分もやられました。

いや、リズと青い鳥ってなんでこんな面白いんですかね……。どれだけ希美とみぞれの関係を考えても正解にたどり着かない気がして仕方がないんですよ。
この後響けユーフォニアムシリーズ全巻揃えて読みましたけど、どうやっても希美とみぞれの関係が分からないです。

後日談?となる「飛び立つ君の背を見上げる」も読みましたけど尚更わからないです。助けて欲しい。

やがて君になる 佐伯沙弥香について

2018年といえばリズと青い鳥もですけど、citrusのアニメ化・やがて君になるのアニメ化・あさがおと加瀬さんの映画化と、百合作品の映像化が激しい1年でした。

やがて君になる自体は2017年くらいに知って面白いな〜と読んではいました。
でも1巻から知ってたわけでもないし、そんな熱意入れて推すのもどうかなと。
そんなアニメ放送中に新刊として、入間人間が書いた小説が出るって何事って感じですよ。

これはなにか意味があると思い、慌てて小説を買って次話放送前までに読みました。 今まで完全に当て馬だった佐伯沙弥香という女がすごい過去を背負った上にすごい片想いしてるヤベェ女だったと改めて知るわけですよ。原作でも触れてるシーンはあったけどもどうしても拭いきれない当て馬のサイドストーリーが小説で綺麗に消化してくれました。
そして発売後の最新話を見たら佐伯沙弥香の過去の話やってるじゃないですか。
なんかもうボロボロにやられましたよね。

やがて君になるを見て「結局佐伯沙弥香って陰湿なレズだろ」って思ってる人は頼むから「やがて君になる 佐伯沙弥香について」を読んで欲しい。やが君で唯一小説になったキャラクターやぞ。

ルミナス=ブルー

自分が今まで読んだ漫画の中で1位2位を争うくらいに好きな作品です。
作者の岩見樹代子先生が百合姫で短期集中連載していた「透明な薄い水色に」という作品があるのですが、これを読んでから完全にファンになりました。

岩見先生の作品はとにかく作画がすごくて、液体を使った描写とキャラの体の柔らかさが伝わってくる曲線を描くのが上手いんですよ。 作画だけでなく、ストーリーの構成も起承転結がしっかりしていますし、1話でしっかり話を展開しつつ読者にミスリード起こさせた上に次回へつなげていくスタイルは唯一無二だと思います。

そんな好きな作家さんのルミナス=ブルーという連載が決まったので取り憑かれたように読んでました。
今までの百合では見なかった、元カノ同士の関係と、その関係を再構築をしながら四角関係を起こすストーリーが革新的でしたね。
本当に好きな作品でしたし、今後の展開がどうなるか楽しみに読んでいたのにも関わらず打ち切りにした出版社を未だに許してません。

今岩見先生がおおよそ1~2年ぶりに「今日はカノジョがいないから」という作品を連載再開しています。
ルミナス=ブルー描いてた頃よりも作画とストーリーがパワーアップしてるし、ディティールの細かさがすごい作品です。
是非読んで欲しい。

定時にあがれたら

2018年の百合ブームの影響か祥伝社のマンガJAMから連載が始まりました。
単行本化前にどこかで1話2話を読んだのですが、どこかほんわかした絵柄に対して主人公の些細な心情の変化が絵柄とモノローグからすごい伝わってくるんですよ。
しかも1話のテーマが「仕事中はほとんど話さないんだけどコートのポケットに付箋いれてやりとりする」というもので、秘密裏に仲良くなってる関係がいいんですよ。
大人が付箋1枚で一喜一憂してるの可愛過ぎやしませんか? この作品の影響で社会人百合沼に蹴落とされました。

朗読劇「やがて君になる 佐伯沙弥香について」

「コロナでやがて君になるの舞台やれないから朗読劇やります!」と言われて大変驚きました。
やがて君になる 佐伯沙弥香についてという作品が大好きなので初めて朗読劇を見に行きました。
原作忠実にやるし、朗読劇という割にはキャラクター動き回っていて「朗読劇とは?」とお見ました。
本来ならキャラ同士が密着するであろうシーンはキャラ同士を引き離す羽目になるんですが、そこを逆手に取り、本来は観客が見ることができない役者さんの正面から見た表情を見せつけた演出はやられました。

呼吸を忘れて途中から頭痛くなるほど魅せられた朗読劇でした。再演か続編を心よりお待ち申し上げております。

夢の国から目覚めても

コールミー・バイ・ノーネームを出した星海社FICTIONから出た作品です。
星海社FICTIONレーベルといえば栞の紐にレーベルロゴを印刷していたりと書籍装丁オタクとしては頑張ってほしいレーベルです。

百合同人サークルやってる社会人の由香と、大学院生の有希の話です。有希が由香に長年片思いしているのですが、由香は気づいた素振りもせずに「リアルの百合なんてねぇ」みたいなことを即売会の打ち上げで口走ってしまいます。
ある日、他の同人仲間の女の子と遊ぶことになった有希は女の子を家に招きます。するとその女の子に押し倒されてしまい、その光景を由香に見られてしまいます。
有希は「私は由香が好きなの!レズビアンなの!」と由香に告白し、家を飛び出ます。
しばらくすると由香が泣きながら探しに来て、「わからないよ……どうして恋人を一番好きにならきゃいけないの? ヘテロの女の子は女の子を好きになっちゃいけないの? 私達そういう話たくさん描いてきたじゃん」と言い、二人は和解します。 後半は「百合って誰のためのものなんだろう」という漠然とした疑問をキャラが考えます。そしてキャラなりに答えを導き出し、新しい同人サークルとして彼女たちの生活がスタートします。

後半の百合に対する捉え方とかをやる作品って見たことなかったですし、近年の「百合ってエンターテイメントだし同性愛者としてカムするシーンはいらないでしょ」という考え方が書かれていたりと、百合の捉え方を書かれた本としても興味深い作品でした。

帯の文句が割と喧嘩売られてる感じしますけど、すごく丁寧にお互いが恋愛とか百合とかについて考えて行動してる作品です。よろしくお願いします。

おわりに

触り始めは8〜9年前だけれど、実は作品をちゃんと読みだしたのって最近なんだなと改めて思いました。
百合に対する考えとか価値観とかの影響を受けた作品は過去のほうが多いってこともわかりました。

心理描写!丁寧なストーリー!求めているのはこれだ!!!!って考えが強いですし、2018年の百合にメインストリーム握ってたような作品が好きですし、今後の百合に対応できるか怪しくて不安になってます。

余談ですが自分が過去に読んだ漫画作品はここに載ってます。 オタクの読書歴みたい狂人は見てください。

このレズセックスがすごい!2020(下半期)

ごきげんよう。仮性レズです。

今年もこの季節がきましたわね……

2020

今年は上半期と下半期に分けてみましたの。
「この作品が無いじゃねえかボケェ!!」って意見の前に上半期版をお読みくださいまし。

 

dst0m.hateblo.jp

 

ネタバレありのブログなので下記作品のネタバレを食らって嫌悪感を抱きたくない人は一読してからもう一度いらっしゃいな。

  • 7~12月を振り返る
  • コミック部門
    • カノジョと秘密の恋もよう
    • 合格のための!やさしい三角関係入門
    • ゆりづくしの教室で
    • ふたごわずらい
    •  突然何となく隣の席の同僚とキスしたくなりました。
    • 姉の友人
    • 着物ちゃんとロリータちゃん
    • 声が出せない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている
    • ふたりエスケープ
    • ファインダー越しのあの子 
    • 夢の端々
  • 文芸部門
    • このぬくもりを君と呼ぶんだ
    • 愛されなくても別に
  • 番外編
    • ポラリティ透明期
  • まとめ
続きを読む

このレズセックスがすごい!2020(上半期)

皆さんごきげんよう
年の瀬を感じる企画、このレズセックスがすごい!

じつは昨年投稿した、このレズ2019。書き漏らした作品が多すぎて良くないなぁと思ったので、思う存分書くために上半期と下半期で分けようと思いました。

毎年最優秀賞とか書いてたけど、あの情報っているのかな。需要あるなら教えて欲しい。

毎度のことネタバレが多いブログでございますので、1文字でもネタバレを喰らいたくない人は下のリストから気になったやつ調べて読んでください。

  • 1~6月を振り返る
  • コミック部門
    • マイ・ブロークン・マリコ
    •  ヒトゴトですから!
    • 一度だけでも、後悔してます。
    • 水島さんと触れ合いたい
    • 主従百合アンソロジー Rhodanthe
      • 毒田ペパ子「飴と鞭と君」
      • 沼地どろまる「復讐のルージュ」
      • 画:如月瑞,原作:Doggy「お嬢様の犬」
      • 結野ちり「Baby Play」
      • imi「わたしのペット」
      • 逢坂八代「ユキとの約束」
    • 今日から未来
    •  欠けた月とドーナッツ
    • 新装版モモイロデイズ
    • 羨望百合アンソロジー Qualia Envy・嫉妬百合アンソロジー Qualia Jealousy
      • 羨望百合アンソロジー Qualia Envy
      • 嫉妬百合アンソロジー Qualia Jealousy
    • 悪戯プライバシー
  • 文芸部門
    • 声優ラジオのウラオモテ
  • まとめ

 

続きを読む