この記事はある程度のネタバレを含みます。
ノミネート作品だけ気になる人は以下の目次でササッと確認してブラウザバックしてください
ごきげんよう。今年もこの時期がやってまいりました。
このレズセックスがすごい!2019
今年を振り返る
今年も百合に色々な革命が起きました。
コミック百合姫とpixivのコラボで始動した公募型プロジェクト
百合文芸コンテスト
フォロワーがファイナリストになってビビった。めっちゃめでたい
まさかのSFが百合に参入
百合SFアンソロジー アステリズムに花束を
昨年12月にSFマガジン2019年2月号を発売。まさかの発売前にAmazonの在庫が一掃される始末。発売前重版に加え、SFマガジン史上初の第3刷まで重版されたとか。その影響か、SFと百合というなかなかハードコアなコラボが生まれる。
(余談ですが、ハヤカワの百合だと「あまいゆびさき」が好きです。よろしくおねがいします。)
感情に身を焼き尽くされる覚悟はできたか
やがて君になる 完結
佐伯先輩、貴方はよく頑張りました……(佐伯沙弥香先輩を幸せを願うモブ並みの感想)
絶対に許さない
百合姫連載打ち切り騒動
本当に許さない
何が出たかもよく覚えてない
アンソロジー発刊ラッシュ
多分全部読んだ。気がする。
BLでお馴染み
同じ同性愛を扱うジャンルとしても、市場として完成されてあるBLを専門に扱う出版社が百合に参入してくれるの嬉しいですよね。なんかスッと信頼できます。
普段百合吸ってる人間が百合を書くことになった……
筆者、百合合同誌に寄稿させてもらう
今までずっと「うるせえこれは百合な関係を表してるんだよ」と思っていたフーリエ変換をテーマに百合小説を寄稿させていただきました。楽しかったです。
ここで通販やってるのでよかったら買ってもらえると嬉しいです。
個人的にめちゃくちゃ嬉しい
社会人百合作品めっちゃ出る
なにが令和元年だ。今年は社会人百合元年だ。
本当に社会人百合作品がたくさん出版されたと思います。
KADOKAWAが出してる「やたらとタイトルがエモい」社会人百合アンソロのシリーズ(White Lilies in Love)がほぼ季刊誌のように出版されていることがすごいと思います。
季節を絡め、春、夏、秋だけでなく、結婚アンソロまで作った模様。
KADOKAWAだけでなく、双葉社も百合部を結成し、パワーあるアンソロを3作出版しました。
完全に数とニッチさで殴る百合姫アンソロ VS 往年の豪華作家陣で結成した双葉社アンソロ
という激しい戦いも見られました。個人的には「ユリキュール」の2C=がろあ先生が描いてた「頂けない人」以外双葉社の勝ちだと思います。
双葉社の初夜アンソロに描かれてた岩見先生の作品がすごかった。二人で生活する最後の日が初夜になるという対比のレトリック、正社員と書いて「しゃちく」と読ませるテクニック、普段はツンケンしてるキャラが見せるデレ。岩見先生、貴方しか勝たん。
閑話休題。クソ長い前フリはこの辺にしときまして、いざ本題へ参りましょう。
選定基準
・2019年に単行本化したシリーズ、および作品。(内容の連載が2019年に連載されていたかは問いません)
・同人を除く、書店で買える本。
・読んでめっちゃ面白かったのでみんなにも読んでほしい作品。
コミック部門 優秀賞
リリウム・テラリウム
そして、発売日は明日ですが一部の店舗様には入荷しているようなので昼宣伝です!
— てん (@ten_yh) 2019年1月9日
ゆりひめ@ピクシブにて連載していました「リリウム・テラリウム」単行本が発売されます! 手元に置いておきたくなる素敵な本になったと思うので何卒よろしくお願いいたします!! pic.twitter.com/kPOJiLLPEv
見本誌も頂いてました。。。 pic.twitter.com/MO7mGRw1Ey
— ED (@otogeri) 2019年1月9日
「今、一番アートに誓い百合漫画」という帯に始まり、本誌カバーはクリア表紙、サイズはB5(百合姫本誌と同じサイズ。新刊案内でB5と見たときは誤字かと思った)というとんでもない本。もう作り方の時点でアート作品。
このカバーの透明さと、インクが光にあたって表紙に影が落ちるアートを見てくれ。
もちろん百合漫画と称しているので、中身も漫画である。
しかし、なんとこの漫画、多色刷りである。
4組くらいの女の子同士の話が載っているんですが、それぞれの組のテーマカラーと黒、ピンクの3色で全ページが構成されているという狂気の沙汰みたいな漫画です。
……とまぁここまでアート要素を話したので本編の話に移りましょう。
ED先生が描く顔のいい女が「ゆりごっこ」と称してキスしたり、海辺で遊びながら友情関係の心地よさに浸ったり、彼氏と喧嘩する度に慰めてくれるような友人関係がステップアップしたりするので、女女関係エモ場面総集編となってます。
百合姫コミックスって普段はB6サイズで本を作り、ちょっと感情デカめのパワーある本はA5サイズで出るんですよ。「指先から滑り落ちるバレッタ」「イヴとイヴ」とか。
つまり、サイズと百合感情のデカさが比例しており、サイズのデカさは感情のデカさ。と捉えれるわけです。
それを踏まえて考えるB5サイズというパワー。そりゃもう感情が極まって「お前!!!お前お前!!!!!!」と本をぶん投げ、指差して叫ぶのを辞さない気になります。
あまりにも好きすぎたのでフォロワーに頼んでサイン本を買ってもらいました。その節はお世話になりました。
装丁フェチ、顔がいい女の子同士の話が読みたい人、物理的にデカイ本でデカイ感情を浴びたい人。敢えて電子媒体ではなく紙で買うことをおすすめします。
イブのおくすり
【宣伝】「イブのおくすり」コミックス(少年画報社 刊)が5/10に発売になります!おねロリ全年齢スレスレエロ漫画です。書店特典などまとめましたー、よろしくお願いします!
— FLOWERCHILD@割り切った関係ですから。 (@flowerchildueda) 2019年5月7日
1話試し読み https://t.co/p4jgIEA8NC
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どこを開いてもゆりえっちしてる漫画。まさに「このレズセックスがすごい!」という表題が一番似合う漫画です。
初めて読んだ時に「これはレズセックスしかしてないし、このレズ!に入れるしかないのでは?」と思ったので入選。
結構ガバな入選ですが、中身もちゃんとしっかりしてます。
メインは、教師と中学生くらいの思春期真っ盛りな女の子が定期的にエッチなことする話です。
思春期真っ盛りな女の子が出てくると「好きってなんだろう」「友達と恋人の違いとは」「この気持ちはなんだろう」というテーマで感情に深みが出せるので好きですね(唐突な性癖の話)
基本的には教師攻めの中学生受けですが、これが逆転する回がとにかく神。中学生に手錠を掛けて主従関係を確定させたかと思いきや、最中に攻め受けが変わり、中学生が教師を悦に陥れるというとんでもねえ展開。きっとBLなら怒られるけど、リバが許される傾向にある百合ジャンルだからこそ実行できて滾るものでした。
他にも同じ部活の先輩に対して性欲丸出しな後輩が先輩を想って己を慰めたりとする話もあるのですが、作品が醸し出す雰囲気がインモラルすぎる。全然こっちは悪いことをしていないのに、なんか悪いことをしている気分になる。
そしてこの先輩が部活のコーチと肉体関係持ってたりしていて、人間関係と肉体関係が渋滞してる。コーチと先輩がやってる最中を見せられる後輩だったり、失恋しているのにコーチにそそのかされてやってしまう先輩と後輩とかで、理性と本能が争っていて良いです。
教師と生徒,先輩と後輩など、年の差で攻めてきているので「1つでも学年違えば年の差!」と言い張るタイプの「年の差百合狂」におすすめです。
作品と作品の間にある「イブのおくすりができるまで」という漫画が切なすぎるので目を通して出版業界の闇を感じてください。
ガラスの靴を脱ぎ捨てて
桐山の百合短編集「ガラスの靴を脱ぎ捨てて」6月18日発売です。各書店さまに描き下ろし特典もございます。7つの短編が詰め込まれておりますが、ハッピーな女性達しか描いておりません🥳1日の終わりにぜひ…どうぞよろしくお願い致します!
— 桐山はるか🐥 (@kiriharu913) 2019年6月12日
▶️https://t.co/hTlDN7cZ5f pic.twitter.com/BseFiC5AJU
ハッピーな女性達の漫画サイコ〜〜〜〜!!
2019年社会人百合スターターキット第1弾です。
社会人百合の醍醐味は「仕事している自分」と「仕事が終わってオフを楽しむ」のスイッチの切替による落差だと思っています。
この表題作「ガラスの靴を脱ぎ捨てて」では仕事がぜんぜん違う3人の女子が、仕事終わりに居酒屋に集まり、酒を飲んで仕事の愚痴言ったり恋バナしたりと、見事にスイッチ切り替えています。憂さ晴らしして終わるかなぁ。と思っていたら、まさかの作中の2人がマンションの隣同士に住んでいるという事実。酒も入ってるしキスくらいするよね。好き。
同じ部署の結婚式に呼ばれる「しあわせを分けなさい」という作品。これがとても良くて、とにかく黙って次の2ページを見てくれ。
帰宅して玄関口でキス。誰も二人の間を邪魔させまいと瞬時に鍵を締める。
この時間にはもう言葉はいらないとばかりにコマの絵力だけで攻める。
そしてつぎのページにいくと靴も脱ぎ捨てて二人床で横になって「わたしたちも社内恋愛なのにね」と。
これはもう社会人百合スターターキットにねじ込むしかないでしょ。
こういう結婚とか人生観について考え出すのも社会人百合の醍醐味だと思います。
「斯くして二人はこの先も」という作品も素晴らしい。
部活の先輩と後輩が付き合い始め、一緒に結婚して同棲する。しかし、後輩が先輩に甘えっきりになり先輩が愛想尽かして部屋中にメモを置いて姿をくらます。後輩がメモを次々に見ながら「そういえばそういう約束してたなー」と振り返り、彼女の存在の大きさと自分の甘えきった行動を見直して仲直りする話。
この振り返りという行為に過去という時間に発生していた感情を畳み込んでいるので、仲直りするシーンで感情の重みと過去の反省が見事に発散されるという仕掛け。最高好き。
ここまでかなり高まってますが、最後に「となりの楽園」という作品について話をしたい。
仕事が嫌になった会社員が同棲してる作家に「仕事辞めたいぃぃぃぃ」「もうどっか遠くに行きたい……」と泣きつく。すると作家が「じゃあ行こっか」「財布と携帯と下着だけもってー」と爆速で身軽な荷造りをして彼女と海外旅行をする話。
社会人だからこその「仕事を放棄して旅に出る」という禁忌を犯して旅に出るという背徳感。身軽だけども結局そこは金で解決したりと、社会人になったことで縛られる生活を全て開放し、社会人から二人の愛し合う少女に戻って旅行を満喫する姿が大変麗しゅうございます。
大人がハメを外して少女に戻る姿ほど美しいものはない。私はそう思います。
2019年社会人スターターキット第1弾なので是非手にとってほしい。
リリィシステム
少年画報社 ヤングコミック 7月号(6月9日発売)より開始です。
— 吉富昭仁 (@yoshi_akihito) 2017年5月23日
ヴィレヴァン百合展から始まったグッズイラストからまさかのコミック化。
バランスポリシーの担当編集さんと再びタッグを組んでの不思議百合漫画です。 pic.twitter.com/4dDRLKy5ND
百合展に行く度に「なんで単行本がないのにグッズだけはあるんだ……?」と謎だった作品、リリィシステムがついに単行本になりました。
少女と少女がメカメカしい装置をつけてるだけというパワーあるイラストを載せたグッズばかりで、本当に単行本がほしかったので嬉しい。(そもそもコミック連載してたことすら知らなかった)
瑞希と奈々は、ある日瑞希の家の納屋で謎の機械を見つける。あっさりと機械を装着する瑞希。瑞希は奈々が書いた小説を読み「この話はウソだ」ときっぱりいい、奈々にも機械を装着させ、「この世界もウソ」と仮想世界へと潜り込みます。美しい仮想世界に心を奪われる二人、しかし、セーラー服の大群に追いかけられます。それを機に仮想世界から脱出しますが、奈々だけが仮想世界へ残されてしまいます。残された奈々を起こすためにキスし、「奈々が書いた小説と同じだ」と揶揄する瑞希。奈々の気持ちを知った瑞希が奈々に向き合った彼女たちの末路とは。
まず作画のカロリーが高すぎる。謎の機械の描写や、仮想世界の崩壊した世界の描写がとにかく細かい。その細かさで少女二人を描写しているのですごい良い。
そしてその描写力の塊で描かれる女の子が軽率に抱きつくの。しかも抱きつく過程が雑じゃなくて、恐怖だとかよろけてとかですごく自然。しかも結構抱きつく。好き。
前述のキスシーンがとにかく良くて、寝ているうちにキスされた奈々が「どうせなら…起きるときにしてくれりゃいいのに」とつぶやくシーンが本当に好きです。
これが単なるSF作品だけじゃなく、百合作品としても力がある側面が見られるところだと思います。
SF百合がトレンドにありつつある昨今、この作品を読まずにSF百合は語れないであろう。
定時にあがれたら
『定時にあがれたら』単行本①、②が発売中です。書店でお探しの際は、下記の画像を店員さんにお見せください!
— 犬井あゆ (@_osakana_man) 2019年10月8日
★honto配信→https://t.co/60iS9LaC8U
★amazon→https://t.co/UHpIEukpzB
★ pixivコミック→https://t.co/VkQUUgniWO
マンガJam(appアプリ)にて連載中です。よろしくお願い致します! pic.twitter.com/C3UuhiRs87
2019年社会人百合スターターキット第2弾です。
なんなら2019年の社会人百合はこれ読んでおけばなんとかなります。読め。
同じ会社で働く営業部の湯川さん(31)(表紙右)と、企画部の水城さん(26)(表紙左)の話。
部署が違う彼女達がとるコミュニケーションはコートのポケットに入れるメモ。
「昨日は本当にありがとう!今日ゴハンでもどうですか?」
「今日、定時であがれたらゴハンいきませんか?」
などと、勝手に湯川さんのコートにメモ入れていく水城さん。
そしてそのメモに一喜一憂してノートに取っといておく湯川さん──
と、コートに入れたメモから始まる社会人百合です。
控えめに言って可愛すぎでは?????
31に対しての26の攻めは強くて美しい。
「コートの時期も終わるけど、この関係はどうなるんだろう」と、しゅんとしちゃう湯川さんは可愛いし、空気を読んだのか単に知りたかったのか「コートも暑いし連絡先交換しましょうよ〜〜」と行ってくる水城さんもつよい。
「もう良い年した大人なんだし……」とも思いつつも「でもこの人が好き」と子どもじみた独占欲とか出ちゃったり、関係を急いだりします。
それでも「2人のことなのだから2人でゆっくり解決していこう」としていくその姿がお美しいですの〜〜〜〜〜。最高ですわ!
他にも2人が付き合い出したときに、水城さんの家にお泊まりをすることになるんですが、家に帰るときに水城さんが「あの、やっぱり別れたくない……」と最寄り駅まで送り出しといて言うのめちゃめちゃかわいくないですか?????????
極めつけは「明日も予定とかなかったら、今日も泊まっていかない?」ですよ。
本当に一瞬一瞬が丁寧に描かれていて、その度に首を締め付けられる気がします。
あれだけ「丁寧丁寧丁寧に描くと」と歌う新宝島も驚くくらい丁寧です。
その丁寧さと画風が相まって、どこかほっこりする可愛さを持ちつつも2人の間に芽生える感情はしっかりはっきりとしている素晴らしい作品です。
余談ですが、この作品を描かれている作者の犬山あゆ先生がコミック百合姫2020年1月号からエッセイを掲載するようになりました。めちゃめちゃよかったからこれ目的に百合姫買っても損ではないと思います。他に連載作品10本くらい百合漫画もついてきますし。
犬山あゆ先生も彼女と同棲しているらしく、そのあたりのリアリティが作品に載ってるかこそ描ける丁寧さとドギマギした気持ちなのだろうか。なんて思います。
ヴァンピアーズ
届きました。いい赤です。 pic.twitter.com/P0qOWTz0e9
— アキリ (@akilim85000) 2019年8月17日
おっぱいと鼻でキスしてるこの表紙、これが百合ではないと言えるだろうか。
表紙右の女の子の首筋に噛み跡がある時点でお察しですが、吸血鬼と少女の作品です。祖母の葬式で出会った見たこともない少女に主人公が「めっちゃかわいい!!」と心を奪われます。主人公も主人公で「なんとまぁ怖ろしく綺麗な……女の子のである」と、自分が女の子に心を奪われたことを不思議に思います。
一方少女は祖母の友人だそうで、祖母が残した鍵を探します。その際に蔵に現れた泥棒を見つけますが、デッキブラシ的な何かでボコボコにします。その姿にかっこいいという気持ちを抱く主人公ですが、少女は「つかれちった……」とおもむろに少女の首元に噛みつき、血を吸います。
吸血鬼出てくる百合としては「吸血鬼ちゃん×後輩ちゃん」「かみつき学園」など、主従関係メインのものが多いですが、これは実生活に吸血鬼が現れ、血を吸われて付きまとわれるタイプとなかなか新しいものですね。
ストーリーが全体的に明るく、結構どういうシーンでもギャグっぽく書かれているのでサクサク読めて非常に面白いです。けれども、主人公が吸血鬼に恋心らしきものをちょくちょく抱いてキュンとしているので、いい塩梅の作品だと思います。
疲れたときに読んでゲラゲラ笑って時々百合を補充したいときにおすすめです。
きたない君がいちばんかわいい
きたない君がいちばんかわいい①発売日だ~!どうか買ってください🥺よろしくお願いします!!!#きたかわ pic.twitter.com/6hcL4NLRhV
— まにお︎︎︎︎︎︎︎︎ きたかわ1巻発売中 (@mnmnoooO) 2019年11月17日
うわ〜〜〜〜ポップな絵柄だ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜面白そうな百合だな〜〜〜〜〜〜
どう宣伝すればいいかわからないのでとりあえず『きたない君がいちばんかわいい①』でやったことリストまとめておきます😔
— まにお︎︎︎︎︎︎︎︎ きたかわ1巻発売中 (@mnmnoooO) 2019年11月3日
・嘔吐
・経血仄めかし
・目隠し放置プレイ
・ピアス穴貫通
・首絞め失禁
対戦よろしくお願いします。
前言撤回。なんなんこれ。暴れ散らかす性癖ハードコアかよ。
普段カーストが上位である愛吏と、カースト下位のひなこの話です。
中学時代、持久走中にひなこが吐いてしまったのを目の前で見た愛吏は「こんな綺麗な娘からこんな汚いものを出すんだ」「私が頑張ろうと声をかけたからなのか」と、ひなこは愛吏のために何でもしてくれるんだと愛吏は思います。その日以降、愛吏は定期的に汚いところを見せるように要求してきますが、ひなこもひなこで「必要としてくれている」という点で承認欲求を満たします。
歪んだ愛大好きマンとしてはこの作品に目を付けないわけがない。
放課後、2人だけで空き教室に入り、愛吏がひなこに対して色々するわけです。
個人的に目隠し放置プレイ回が最高で、放置されたひなこが愛吏を求め、愛吏の名前を呼び続けるシーンは歪んだ愛をかなり感じました。
表紙の絵と同じ画風で、かなりポップなタッチで描かれる中、どこかリアリティを持った表現を読者に投げかけてくるので、すごくゾクゾクしながら読みました。
痛めつけ満たされる愛、腹パン、女の子痛めつける女の子、インモラルな空気と歪んだ関係が好きな人は是非。
友人にこれを勧めたら「腹パンするやつでしょ?」って言われました。そうだけどそうじゃない……
付き合ってあげてもいいかな
マンガワン(https://t.co/I2Qjs1vXw8)にて、本日より「付き合ってあげてもいいかな」の連載が始まりました~~!女子大生たちの楽しいキャンパスライフとラブが巻き起こっていくはず!😎ぜひ読んでみてください~~! pic.twitter.com/KTLs2tAWSr
— たみふる👯♀️3巻12月12日発売 (@_tmfly_) 2018年8月16日
次に来るマンガ大賞入賞しましたね。めでたい🎉
大学生になった、みわと冴子の話です。2人は大学に入って仲良くなった友人で、一緒に軽音サークルに入ることになります。みわはとにかく美人で、新歓の最中周りの男から告白されまくったり、ナンパされまくったりしますが、それから助けるのが冴子です。そして冴子は新歓終わりに酔ったノリで「私、男興味ないんだよね〜。女のほうが好き!?みたいな」と告白します。元々同性愛者の自覚があったみわはこれを気に、冴子と付き合うことになります。
大学生がテーマなので、結局男だの恋だのの話になり、みわや冴子の友達がどんどんアドバイスをして先走っちゃったりします。で、結局そういうことをするようになるんですが、その絵がとにかく、ただエロいだけじゃなく、どこかリアリティのある描写なんですよね。この作品において作者が重要視しているのが生々しさとのことで*1、妙に抱き合うシーンとかが重いんですよね。
そして2巻の途中に「恋愛することがよくわからない」とどこぞの小さい糸みたいなことを言うキャラにスポットが当たるんですが、その娘とみわがお泊りし、そこでお互いに自分のセクシャリティと真剣に向き合う姿が大変現代的な悩みを持っている作品でいいなと想いました。
3巻は冴子が自分の性的欲求を満たそうとすると、もうひとりの自分が俯瞰していて「そんなことで気持ち良くなるの?」と自らを押さえつける感覚を描いていていました。思春期への過渡期に誰もが一度は抱きそうな性に対する嫌悪感を生々しさ前回で描いていて素晴らしいなと思いました。
軽音サークルの中で繰り広げる、自分の性と向き合う素晴らしい作品なので、よろしくおねがいします。なんと1月に単行本化して12月には3巻まで出るという快挙!素晴らしい!
理想と恋
『理想と恋』コミックスの色校届いたー!まだ微調整中ですがすごく可愛くデザインしてもらってます✨4/22に出ます!よろしくお願いします🌸 pic.twitter.com/j2qYNrqFtU
— 日野雄飛👾11/10新刊発売 (@youhe_o) 2019年4月6日
2019年社会人百合スターターキット第3弾です。
先述の1弾は「社会人だけど大人としてはっちゃける」、2弾は「付き合いたての大人の初な恋」、第3弾は「付き合うまでの恋の過程を丁寧に描いたもの」となっています。
この作品は
宅配ドライバーやってたら元推しに出会ってしまい、実は認知されていた。そんな宅配ドライバーと元アイドルの間に、荷物受け渡しという短時間に発生する会話や仕草で発展していく「チャイムとアイドル」
ブティックの店員と仲良くなり、店員の趣味で服を作ってもらうれみ。けれどもそれ以降連絡が取れなくなり、家まで押しかける。店員は元気であったが、買い物依存症のためにお金がなく、友達付き合いが一切できないと告白。でも「私はれみさんと一緒にお出かけしたいんです」と告白。一方お金がなくでもできることがあると、れみは言い日クニックする話「ピクニック」
となっております。
中でも特筆すべきなのが「れんげがさいたら」です。
居酒屋でバイトする以外なにもないフリーター、まゆこが友人に誘われ演劇を見に行くことになります。その演劇で、ラストシーンに圧倒され、夢にまで出てきてしまったので劇団に見学することに。そして見学当日、ラストシーンを演じていた演者であるるりに出会い、演劇の基礎を学ぶことに。次の題目の台本を渡され、読み合わせをする、ゆりを見て、いろんな役に七変化できる役者の面白さにのめり込み、入団します。
るりと仲良くなっていくまゆこ。その中で実はるりが役者志望ではなく、演出や脚本志望だと知ります。るりが何かをやるときにわたしもやると約束し、再び演劇の練習に力を入れて取り組みます。そこからめきめきと成長していく姿や演劇を通して自らの才能に気づいていきます。最後には前座として、るりとまゆこの2人で二人劇をやることになるという話です。
途中、まゆこがどんどん演劇のクオリティが上がっていくシーンで「私は同性愛者で、嘘をつくのが当たり前になっているから」といいます。しかし、これにるりは「同性愛者だからって全員演技がうまいわけないでしょ」と切り返し、同性愛者というくくりからまゆこという個人を見ているのが伝わってとてもいい。
最後「二人劇が成功したらるりに告白する!」と意気込んでいたのまゆこが、ポロッとるりの前で言うところが愛らしいので見てください。
さよならローズガーデン
「さよならローズガーデン」1巻いよいよ明日発売!です!!!
— 毒田ペパ子/さよ薔薇②発売中 (@pepperco) 2019年1月9日
ヴィクトリア時代、英国貴族の令嬢と作家志望の日本人メイド、繭のような薔薇の庭と二人の秘密、、みたいな、そういう、そういうアレです…!よろしくおねがいします~~🌹🌹🌹🌹🌹🌹 pic.twitter.com/hKBbkANBDt
みんな大好き令嬢とメイドの話です。本好きの東洋人、華子は大好きな作家であるヴィクター先生に会うためにイギリスへ来たのですが、秘密主義であるヴィクター先生には会えませんでした。その出版社へ出向いた際に「これだから女は」とあしらわれた際に「性別で決めつけないでよ!私は馬鹿にされるために海を渡ったんじゃない」と激昂します。その様子を見ていた令嬢、アリスが華子をメイドとして引き取り、華子はアリスに仕えるようになります。華子はアリスにヴィクター先生に付いて尋ねると、「あなた次第では会えるかも」「交換条件として私を殺して」と答え、アリスを殺すように命じます。アリスが放った「私を殺して」に隠れた背景、そしてヴィクター先生の真相とは──
この作品、とにかく英国に対して真剣すぎます。キャラの服装や、セリフの言い回し、価値感、それらが全て20世紀初頭の英国感がつよくてすごい好きですね。それに本をテーマにしているところもあり、セリフの紡ぎ方が非常に良いです。
アリスと華子の関係性がもちろん一番重要なのですが、20世紀初頭の英国なので同性愛もほぼ禁忌に近いですし、アリスもご令嬢なので婚約者がいたりと、二人の関係は安易に進みません。アリスの過去、そして華子の過去が結びついて進展していくストーリーは本当に面白いので是非。
どうやら今度朗読劇があるそうです(なんで?)
憎らしいほど愛している
既婚女性上司×部下OLの不倫百合コミックが発売されます✨二人の関係の始まりから行きつく先まですべてこの1冊で完結していますので、ぜひ手に取って頂けたら嬉しいです!
— ユニ (@y_un_i) 2019年7月5日
『憎らしいほど愛してる』(発売日:2019年7月30日火)
amazon予約:https://t.co/91zmIymcOA
↑サンプルから試し読みできます! pic.twitter.com/B7zSYowLmS
先程「ガラスの靴を脱ぎ捨てて」「定時にあがれたら」「理想と恋」を2019年社会人百合スターターキットとして紹介しましたが、この作品をデッキに組むことで2019年社会人百合ダークモードデッキが完成します。
バリキャリ上司、綾子(33)と最年少エースOL沙緒里(26)の話です。普段は綾子と沙緒里がバリバリ仕事こなして成績をガンガンだす最強のタッグを組んでいます。しかし彼女達には秘密があり、それは綾子は旦那に隠れて不倫しているということです。もちろんご安心を。綾子が不倫していますが、相手は沙緒里です。
ことのきっかけは2人で飲みに行った時、沙緒里が綾子を口説き、そのままホテルへ行きます。そして上司である綾子を美味しく頂いてしまいます。(作中にこの表現がそのまま載っていて好き)
一方綾子は旦那の不倫に気付いてしまい、美味しく頂かれた夜のことは「旦那へのあてつけ」と称します。その後、沙緒里へのご褒美として肌を重ねるわけですが、この時綾子は快楽へと溺れていくわけです。
2人はどんどん仲も深め、仕事もバリバリこなし、ついに2人で出張に行くことになります。一度肉体関係を持った女性同士で出張、何事も無いことがなく、実質出張を兼ねた2人の旅行に。
そんな順風満帆は2人ですが、社内では女性社員と男性上司の不倫騒動が勃発、彼女達には身を案じてしばらく社外で会うことをやめます。
しばらくして、久々に飲み会が会った後、2人はお互い体に触れ合います。が、しかし、沙緒里は綾子の身体に傷をつけてしまう。綾子の旦那が、最近綾子を求めてくることもあり、この関係に一度終止符を打って別れます。
そこから紆余曲折あり、浮気相手の代わりとして愛されるくらいなら、本当に愛してくれる沙緒里のほうがいいと気づき、旦那と離婚します。そして綾子は沙緒里の元へと行きます。
ね、ダークな社会人百合要素満載でしょ?
個人的に出張を兼ねた旅行の話がめちゃくちゃ好きで、一晩中お互いの身体を貪りあって幸せいっぱいですし、嵐の前の静けさとはこういうことかと思いました。(このあと本当に嵐が来るけど)
途中どうでもいい女性社員と上司の不倫で会うことを控えることになるのを見たときはヘテロに腹が立ちましたし、都合よく妻を求める旦那も気持ち悪いなとヘテロに憎悪しか抱かない作品です。
そういう伏線もあるせいか、綾子が旦那と離婚して二人の生活が始まるシーンの爽快感はこの上ないです。
昨年のこのレズ!2018で紹介した「君だけが光」のように、ある種添い遂げた中山可穂先生の作品でもありますので、ダークな社会人百合が読みたい人にはおすすめしたい作品です。
きみのために世界はある
【お知らせ】
— うすしお (@siousuisio0057) 2019年12月17日
12/18雨水汐短編集「きみのために世界はある」発売されます!
学生から大人百合まで6本の短編が入っております📚
書店特典も色々書かせて頂いたのでお好きなものがあれば是非!
描き下ろしもありますのでどうぞよろしくお願いします🙇
📘Amazon https://t.co/2BAAASKHLA pic.twitter.com/7uHxGPfznR
突然だが、あなたは2018年に百合界隈を感情で焼き尽くし「巨大感情」というパワーワードを生み出した映画「リズと青い鳥」をご存知だろうが。知らない人は見ろ。今すぐ見ろ。絶対に見ろ。見た人はもう2回見ろ。
この話が出てくるのには理由がある。それは私がこの作品を「このレズ!2019」に入れるまでの過程に起きたことだ。
先述のとおり、去年公開された「リズと青い鳥」は百合に革命と大幅なアップデートを加えてくれた。設定としてはよくある感情すれ違い物語なのだが、そのすれ違い方のバランスが絶妙で、表面上はすごく仲の良い二人組、希美とみぞれなのだが、精神面に関しては見事に真逆なのだ。ラストの2人が生物室ですれ違った感情をお互いに話し合って未来へと進む彼女達の姿は涙なしには見れない。
この短編集の表題作「きみのために世界にはある」では、まるでリズと青い鳥をインスパイアしかのようなシナリオなのである。明るくて運動神経抜群、誰からも愛されるようなキャラなる。なるとは対称的に、本を読み続けているひびきの話です。
ひびきはいつも図書室で本を読んでおり、そこには必ずなるの姿が。別に本を読むわけでもないのに一緒に図書室へ行く日々。帰り道に陸上部から熱烈な勧誘をうけるなるだが、それを断る。ひびきに理由を聞かれ「一緒にいられない時間が惜しい。だってひびきのこと好きだし」と勢い余って告白してしまう。その後のひびきが「私には本があるから」と切り捨ててしまうこの構造。めちゃくちゃ「リズと青い鳥」じゃないですか?
これが本誌に載ったのが2018年11月号、販売ベースだと2018年9月に発売されたものです。そりゃ刺さるよ…
他にも色々百合姫に載っていた短編が収録されていますが、全部誌上で読んだときに「これ好きなやつ!!」と思った作品だったのでめっちゃ嬉しいですねこれ。
かっこいい系女子が実はロリータ・ファッションが好きだけど、周囲からかわいいは求められていないと諦めているところを応援し、ロリータ・ファッション友だちになる「シークレットクローゼット」
幼馴染の美人に苦手な裁縫を練習してドレスを作る「cast a spell」
5年も友達やっていて合鍵渡しているような関係が、突如新しい男が出てくるとこによって壊される「Jewel of you」
どれも素晴らしいから読んでくれ。安心と信頼のA5版です。
やっぱ版がでけえと描かれる感情もちげえな
余談ですが、雨水汐先生が描く社会人百合「欠けた月とドーナツ」が連載中です。周りに合わせる主人公と、自分が生きたいように生きる先輩のどこか初々しく、丁寧に恋をするストーリーが最高なのでおすすめです。もう二度と2巻打ち切りは見たくない……
コミック部門 最優秀賞
ルミナス=ブルー
【告知①】3/18発売『ルミナス=ブルー』1巻の書影と店舗特典まとめです。描き下ろしは8P、デート前日の女の子達の過ごし方「Saturday night/21:50」です。各店舗様の特典も3人がいっぱい!エモな帯文のルミナス=ブルーをどうぞよろしくお願い致します!amazon→ https://t.co/qBAI73XICx pic.twitter.com/YmIuAtyX37
— 岩見樹代子 (@okome103) 2019年3月18日
ルミナス=ブルー、お前が優勝。お前しか勝たん。
結果としては出オチな気がします。ですが、この作品が今年一番私を狂わせました。本当にありがとうございました。
話としては、転校してきた少女、光が雨音と寧々という2人に絡まれ、3人はすぐ友人関係になります。しかし、その友人関係は簡単なものではなく、過去にあった関係などが重く絡まっているものでした。その2人にあった過去とは、そしてその過去をしる葉山先輩の存在とは……
この作品が起こした革命はいくつかあると思います。まずは「四角百合」という関係性。
従来の感情がデカめの百合や、往年の百合作品をさかのぼってみると、大体三角関係で終わるものが基本的だと思います。「やがて君になる」「ストロベリー・パニック(アニメ)」などが代表的。しかし、三角関係百合は構造を見てもらえれば簡単にわかりますが、どう頑張っても必ず1人は結ばれない悲しい結末になります。しかし、こちらは四角百合であるので、組み合わせ的にも安定するという安心感がありますね。問題はその結び方なのですけれど……。
つぎに起きた革命は「元カノ同士の百合」という話。私はまだ百合に触れたのがアニメゆるゆりが始まった頃なうえ、本格的にdigり初めたのは4年くらい前なので百合経験値が浅いんですけど、未だかつて見たことがない始まり方の関係系で大変驚きました。
普通百合でよくある始まり方は女の子相手に一目惚れだとか、失恋した女が次の女見つけるとかで、すでにあった関係性はないがしろにしていることが多いと思います。しかし、そこに過去にも導線を作っておいて話を展開する。これは本当に驚きましたね。
最後に主人公という立ち位置ですね。一般的な百合作品だと主人公は女相手に恋するか、告白されて苦悩するかとかの立ち位置がほとんどですが、ルミナス=ブルーの場合観測者という立ち位置になるんですよね。基本的に二人の仲を大事にしたい主人公が一生懸命がんばりつつも他のキャラに告白されてカップルに成ってと大変ですが。
以上3つの革命をわずか1,2話で爆速展開してくるのがルミナス=ブルーという作品です。
もちろんこれ以外にもたくさんの見所はありますし、キャラがよく泣くので感情に重みと深みが出ますし、素晴らしい作品です。
一つ残念な点を上げるとしたら、連載一年足らずで完結しちゃったことですね。本当に悲しい。伏線張りまくられていた作品なので「きっとこの伏線がこういう展開起きるんだろうな〜〜〜」とか楽しみにしていたのでなおさらです。
7580は安易に連載バンバンやって売れないと思ったら簡単に打ち切る焼畑農業をやめろ。マジで。誰も救われないし、誰も得しないぞ。
お求めやすい全2巻!(血涙)みんな読んでくれ!
文芸部門 優秀賞
そんなものは無かった。
強いて言うならSF百合アンソロジーの「アステリズムに花束を」の四十九日恋文がめちゃめちゃ良かったです。やっぱり時代は変わっても手紙って素晴らしいものですね。
文芸部門 最優秀賞
生のみ生のままで 上・下
上下巻の全2巻構成です。
彼氏である颯と付き合っていた逢衣と、颯の友達である琢磨の彼女である彩夏の話です。逢衣と颯が2人で温泉リゾートに行くと颯が琢磨と遭遇し、実質ダブルデートをすることに。最初は無愛想な対応をする彩夏ですが、実は女優とのこと。
ある日4人でバーベキューに行くものの車ごと立ち往生し、彩夏と逢衣はバーベキューに残ることに。雷が落ちだすと彩夏が怯え、弱音を吐き続けるのですが、そこで逢衣が勇気づけて彩夏を守ります。
この一件から2人の距離は徐々に縮まり、ダブルデートが終わった後にも会う関係に。
ついには一緒に暮らすことを始め、お互い彼氏と別れ、2人で愛を育みます。
そんな幸せな2人にゴシップという形で試練が現れ、一旦別れてしまう。今後の彼女たちの関係は如何に……。
と言った話です。
とりあえずこの装丁をみてくれ。
この紙と背表紙の間にある布(花布というらしい)と栞の紐を上下巻で入れ替え、ペアルック風にしてんのやばくないですか???????(装丁フェチ)
もうこの2人には絶対に近づくことはできないってことがよく分かるじゃないですか。
そして内容ですが、起承転結の転がバカでかすぎて軽く読者を絶望させる感じでした。あれほど愛し合って順風満帆だった生活がガラリと一転して、崖からチャレンジャー海淵に蹴り落とされたような感覚です。そこからのリカバリーもすごくて、中山可穂キッズとしては驚きのハッピーエンドでびっくりしました。
百合文芸に殴られたいなら是非おすすめ。ハードカバーで手に入れて花布と栞の紐にエモを感じよう!
番外編
ここでは「このレズセックスがすごい!2019」に惜しくも落選してしまったけど、非常に刺さった漫画を紹介していこうと思います
伊勢さんと志摩さん
「伊勢さんと志摩さん」のコミックスが11/15に発売となります!趣味なし特技なし恋人なしな社会人女子2人の毎日をぜひコミックスで!お試し読みはこちらから→ https://t.co/1ErqZ6bMmP pic.twitter.com/9ijU6HxgKC
— トクヲツム (@TOK_info_kousin) 2018年10月22日
2019年刊行というルールのため、惜しくも落選。
なんで去年この作品を見つけられなかったんだ?????????と本気で後悔しました。タイトルからして「あーなんか対称性がありそうないい感じの百合なんだな」と思っていたら、大人になりきっていない社会人が2人仲良く同棲しつつ楽しく生活してると、自分の性癖を19割くらい叶えてくれる作品でした。
伊勢さんと志摩さんの少しギャグなやり取りと、相手が好きという確証を得れる表現は無いけれどもどこかで相手を想っている表現がとにかく好きです。
おそらく合理的に生活しているだけで、相手を好きという目で見てはおらず、友人としてシェアハウスしてる作品って無限の可能性を持っていて最高ですよね。
今年一番読み返した作品だと思います。
去年買ってたら去年のこのレズ!に載ってました。
心中するまで、待っててね。
「心中するまで、待っててね。」上下巻 2019年10月10日同時発売
— 市梨きみ @冬コミ1日目南4ナ11a一掃g (@k_ichinashi) 2019年10月20日
△市梨きみ著・リブレ出版
試し読み① https://t.co/22v903IdEy
試し読み② https://t.co/vtsdKGBilj
試し読み③ https://t.co/CSGd0OxaWG
△特設サイト https://t.co/rV7grf5Q2u
▲amazonhttps://t.co/EFLw6W5r9V pic.twitter.com/zcZpKJW1Hp
心中モノっていいですよね。お互いの愛が歪み、お互いを愛し続け、その愛を永遠にするために2人で死を選択するというのは美学だと思います。
まあこれBLなんですけど。
番外編ということで許してください。
本屋に行ったらポスターに「歪んだ純愛」とか書いていて、これは性癖に刺さるなと思い、読んだら見事にクリーンヒットしました。
これ帯がめちゃくちゃ好きで、「本当はXXXXXってことを」と書かれているのですが、XXXXXの部分がちゃんと上から塗りつぶした感じがしていて、帯をめくって裏から見るとXXXXXに当てはまる文字はちゃんと書いているという仕様。BLコンテンツの財力を再確認した。
あらすじとしては、とにかく災難に遭いまくる主人公。ある日、主人公が引っ越したときに友だちになった近所のお兄ちゃんをみかけます。そのお兄ちゃんが急に「ちょっと住まわせてくれよ」と同居することになります。お兄ちゃんが好きだった主人公は不意の再開に喜びます。しかし、お兄ちゃんが家に来てから家へのいたずらがエスカレートし、主人公はお兄ちゃんが拐われるんじゃないかと不安になりだします。不安になった主人公は家に鍵をかけまくったりします。
「最後にお兄ちゃんと会ったのはいつだろうか」とお兄ちゃんとの記憶を遡ろうとします。しかし、安易に思い出せない記憶。かろうじて思い出せた記憶は、お兄ちゃんが知らないおじさんと歩いているところ。それにはお兄ちゃんの家庭環境と過去、そして未来が強く結びついており、記憶がフラッシュバックし、お兄ちゃんを死を知ります。
死を知った彼は、兄を殺した犯人を特定し殺害。大好きだったお兄ちゃんと一緒に遊んだふるさとへ帰って心中する。
という話です。
自分は今まで「なんとなく心中ものが好き」という感覚でいましたが、ここまでちゃんとした心中ものを読むのが初めてで、とにかく作品の構造に感動しました。キャラの愛が歪むまでの過程の描き方がすごく自然ですし、下巻のお兄ちゃんの死についての過去回想や事実を突きつけてくる展開がすごくよかったです。
やはりラストシーンの心中するシーンは涙なしには見れず、BL読んで泣きかけるというよくわからない人になっていました。
他にもこの作品が好きな理由がありまして、自分の作品理念に「出てくるものには全て意味をもたせる」ってのがあります。この作品は、その理念にちゃんと応えてくれていて、作中に出てくるオブジェクト1つ1つに隠された意味とかがあって、とにかく繰り返し読めば読むほど話の深みが出てきて面白い作品でした。
心中ものが好きなオタク、BLとかそういうの一回ナシにして読んでくれ。いいものはBLだろうが百合だろうがいいんだよ。確かに5%くらいはセックスしてるけどそれもBLや。
最後に
まさかここまでの長文を書き綴るとは思ってませんでした。今年は漫画を中心に百合を追っていたので、コミック部門がかなり濃厚だったかと思います。(逆に文芸部門が薄くなってしまった)
そしてこの記事に書ききれないくらい、いい百合漫画もいくつかありますし、年1でやる企画じゃねえなと思いました。来年からは四半期くらいでやろうかと思います。
これだけは覚えて帰ってくれリスト
・2019年社会人百合スターターキット
「ガラスの靴を脱ぎ捨てて」「定時にあがれたら」「理想と恋」
ここに「憎らしいほど愛してる」を入れると2019年社会人百合ダークモードデッキになります。ダークな百合が読みたい人は絶対にデッキに組んでください
・コミック部門最優秀賞
「ルミナス=ブルー」
もう完結しちゃったけど読んでくださいお願いします。
・文芸部門最優秀賞
「生のみ生のままで 上・下」
これは本当に強かった。上下ハードカバーだけど手にとってほしい本
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。是非百合の年末調整に活かしてもらえるとありがたいです。
それでは、ごきげんよう。
*1:ただ、エロいだけじゃない。「生々しい」恋愛漫画、読んでみませんか? | ホンシェルジュ https://honcierge.jp/articles/shelf_story/8405